“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
レッズ青木拓矢&柴戸海の相乗効果。
リーグ戦1年ぶりの“完封”に貢献。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/07/06 20:00
横浜FM・扇原からボールを奪い取ろうとする浦和・柴戸(左)と青木。2人の働きもあり、王者を無失点に抑えた。
「攻撃的ボランチ」だった青木拓矢。
前橋育英高時代の青木は、現在のイメージとは全くの逆。「攻撃的なボランチ」という印象だった。
もちろん当時から守備力は高く、フィジカルの強さと、高さ、そして正確なキックで攻守のバランスを司る一方で、インターセプトから一気にゴール前までドリブルで運ぶ姿は圧巻だった。筆者が取材に行った試合では、対峙した2枚のDFをダブルタッチでかわした後、そのまま30mドリブルから強烈なシュートを放つシーンもあった。ボールを奪ってからシュートを放つシーンは何度も見てきた。
前橋育英から大宮アルディージャに進むと、彼のタスクは徐々に攻撃から守備にシフト。それでも2012年、'13年シーズンでは2年連続リーグ4ゴールをマークし、攻撃センスも発揮していた。
しかし、'14年の浦和移籍をきっかけに、個性的なアタッカー陣を支えるべく、より守備のウェイトが増した。
「得意だった攻撃面で成長したい」
「プレースタイルは大きく変わりましたね。プロに入って、どんどん自分が守備の選手になっている印象です。でも、もちろん運ぶプレーや攻撃に関わるプレーは出来なくなったわけではなくて、チームや監督から求められていることを最大限にこなして、チームの勝利に貢献する。この前提をきちんとやるのはプロとして当たり前だと思っています。そうなるとどうしてもイメージが『後ろ気味の守備の選手』になりますし、僕もそれが嫌ではなくて、楽しみながらやれています」
昨年、彼は自身の変化をこう語っていたが、続けて秘めた想いも口にしていた。
「正直、今30歳になってやっぱりもともと得意だった攻撃面で成長したいなと思っているんです。それをすることで新たな自分というか、ベテランと呼ばれる年代になってからもさらに成長する1つのきっかけになると思う」