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ベイスターズ平良拳太郎の変化とは。
登板2戦でQS、老練な投球の秘密。
posted2020/07/05 08:00
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
Kyodo News
平良拳太郎は“走る男”である。
横浜DeNAベイスターズに移籍して4年目、彼をグランドやキャンプ地で見かけると、いつも走っている。たとえば以前、横須賀市長浦町にあったファーム施設に練習休日に訪れると、誰もいない中、平良がひとり黙々とランニングをしている姿があった。暑い時期、玉のような汗を浮かべ一歩一歩、着実に進んで行き、スタミナを積み上げる。
走り終わりに「お疲れさまです」と声をかけると、笑顔を見せペコリと頭を下げる。そんな控え目な対応もシャイな彼らしい。
今シーズンはDeNAに入団して、初めて開幕ローテーションに食い込んだ。その投球術からは、老練ともいえる巧みさが見て取れる。変化球を低めに集め、打者のバランスを崩し、ゴロを量産する。ラミレス監督も「平良は自分の長所と短所をわかっていて、強みは真ん中から外。スピードを変え、タイミングをずらすなど、そういった部分が非常に長けている」と高評価を下している。
「ランナーは出るものだと思って」
ここまで2試合を投げ計12イニング、防御率1.50、被打率.167と十分な数字を残しているわけだが、平良は先発投手としての心構えを次のように教えてくれた。
「まずは試合を作ることを第一に考えて、ランナーを出したとしても自分で自分を追い込むようなピッチングをせず、一つひとつのアウトを確実に取っていくことですね。1イニング3人で終わらせるのが一番ですけれど、ランナーは出るものだと思って、そこからいかに抑えるのか、今のところ集中してピッチングができていますね」
たしかにランナーを出してもカウントを悪くしても、今季の平良は焦る様子を見せることなく、淡々とマウンドをさばいている。頼もしくもあり、メンタル面においても成長が感じられる。