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ベイスターズ平良拳太郎の変化とは。
登板2戦でQS、老練な投球の秘密。
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKyodo News
posted2020/07/05 08:00
平良は沖縄・北山高から2014年に巨人に入団し、'17年にDeNA移籍。昨季は5勝6敗、防御率4.11。
QSはすでに2試合で達成。
さて、120試合という短いシーズンは加速度をもって進んで行くが、優勝に向け、平良には年間を通じて先発としての務めを果たすことが求められる。ローテーションの1人として定着しはじめた2年前は悪戦苦闘の末、後半戦で波に乗り、昨季は前半は良かったものの後半戦で失速した。コンスタントに1シーズンを投げ切ることが信頼へとつながる。
こだわっているのはクオリティ・スタート(QS、6回以上3自責点以内)だ。昨季15試合に登板し達成率は約43%だったが、今季は2試合ともクリアしている。
「先発ピッチャーとして、最低限QSをクリアすることが大事だと思っています。そうすれば成績もついてくるでしょうし、今後は7、8、9回が課題になってきます」
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だから平良は走る。誰よりも遠くに。
「問題は球数をいかに上手に減らしていくか。ファームのキャンプで大家(友和)ピッチングコーチから『球数を投げれば体力がつくというものじゃない。1イニング15球を目標に投げてみろ』と言われ、たしかにそうだって納得しました」
平良の打たせて取るピッチングは高度なテクニックを要するが、投球内容を鑑みればすでに方向性は見えていると言っていいだろう。体力の温存と出力のバランス。微細なコントロール。ランナーを出したとしても焦らず考え、平常心で集中すること。個性的な右のローテーション投手として、いまや平良はチームになくてはならない存在だ。
「とにかく粘り強くピッチングしていきたい。このポジションを手放すことがないように、チームの勝利に少しでも貢献したいと思います」
いつもは優しくはにかんでいる表情を引き締め、平良は力強い口調でそう語った。