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ベイスターズ平良拳太郎の変化とは。
登板2戦でQS、老練な投球の秘密。
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKyodo News
posted2020/07/05 08:00
平良は沖縄・北山高から2014年に巨人に入団し、'17年にDeNA移籍。昨季は5勝6敗、防御率4.11。
際立っている「低め」の制球。
そして平良の老練なコンビネーションの礎となっているのが、言うまでもなく低めへの制球である。以前、平良から「低めに投げる意味がわからないときがあったんですよ。低めに投げても打たれるわけですから」と聞かされ驚いたことがあったが、キャリアを重ね「低く、かつ“強く”投げること」の重要性に気がつき、投球術は磨かれていった。
「ただ昨年の後半、結果が出ないこともあり、低めだけじゃ抑えられないんじゃないかなと思ったことがあったんです。そこで低めを狙わず、甘めで勝負しようとやってみたんですが、上手く行きませんでした。そこでもう一度、低めという意識を強く持つことに。自粛期間中の自主トレではその辺をかなり練習してきたんです。また、アクセントとなる高めのボールも大事だなと改めて感じていますね」
ピッチャーというのは繊細である。試行錯誤しながら一歩前に進んだかと思えば振り返り、自分の足跡を見つめる。現役が終わるまでおそらく答えは見つからないが、常に高いレベルを堅持しようと奮闘している。
キャッチャー戸柱との関係。
そんなピッチャーをフォローするのが、言うまでもなく女房役のキャッチャーだ。今季は2戦とも戸柱恭孝がボールを受け、平良の良さを引き出すことに成功した。丁寧にコーナーへリードし、外角の厳しいエリアはフレーミングでゾーンへ収める。
「助かりますよね。外のスライダーを広くとってもらえている印象ですし、自分としてはそれがあって真っすぐなり、シンカーなり、幅を使って投げることができました」
果たして戸柱とはどんな話し合いをしているのだろうか。じつは平良と戸柱は、昨季までほとんどバッテリーを組んだことがない。
「試合前に言われているのは『1、2失点だったら何の問題もない。0点で抑えようとして小さくなるな』ということですね。たしかに試合でトバ(戸柱)さんとはあまり組んだことはないんですが、組まなくても普段から『どんな感じ?』と訊いてきてくれるので、何度も自分の感覚を話しているんです。だから違和感というのはまったくありませんね」