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ナイキ厚底「1強」に待った。
五輪延期で激化、シューズ開発競争。 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byAP/AFLO

posted2020/07/05 11:30

ナイキ厚底「1強」に待った。五輪延期で激化、シューズ開発競争。<Number Web> photograph by AP/AFLO

3月に発売されたナイキの「エア ズーム アルファフライ ネクスト%」。靴底39.5mmのシューズは議論を巻き起こした。

ミズノの新製品は薄底で反発力あり。

 7月1日、ミズノが長距離用シューズ「ウエーブデュエルネオ」を発表した。今年1月の箱根駅伝で、10区の区間新記録を樹立した嶋津雄大(創価大学)が着用していた試作品の完成版となる製品だ。

 目をひいたのは、靴底の厚さが従来と変わらない、いわゆる薄底であったことだ。

 その中にあって、こだわったのは反発力。開発した新たな素材を用いることで、反発力が約35%上がったという。

 リオデジャネイロ五輪4×100mリレーで銀メダルを獲得した飯塚翔太が言う。

「最大の特徴は反発力です。疲れたときに足が上がってくれます。(靴底の)厚さもないので、感覚を繊細に感じられます」

 薄底にこだわった理由は、飯塚の言う「感覚」にある。

 また、ナイキ製品の場合、フォームを合わせる必要性もあるという指摘も出ていたが、フォームを変える必要がないように、という意図も薄底となった理由であるとミズノは説明する。

アシックスやアディダスからも。

 ミズノだけではない。6月12日にはアシックスが「メタレーサー」を発売。「ヴェイパーフライ」と同じようにカーボンプレートを内蔵する。

 またアディダスは5本骨状のカーボンバーを搭載した「アディゼロ アディオス プロ」を発表、6月30日にはカーボンプレートを搭載した「アディゼロ プロ」を発売した。

「アディゼロ アディオス プロ」は「世界のトップクラスのアスリートとともに開発がすすめられました」という。

 昨年の世界選手権10000m銅メダル、ロードレース10kmの世界記録保持者ロネックス・キプルトはこう感想を寄せている。

「履けばすぐに、誰でもまったく新しいものだとわかる。軽量で、バランスがとても良い。最高に素晴らしい感覚」

【次ページ】 「発売から4カ月以上経過していること」が条件。

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