“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
鳥栖DF原輝綺、焦りからの解放。
「また違った自分を見せられそう」
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2020/06/30 07:00
大怪我を克服して、リーグ再開へ向けた準備を進める鳥栖・原輝綺。目標にしていた東京五輪は延期となったが、改めて自分を見つめ直す時間となった。
7カ月で得たことを「復習」。
話を聞いていると、この7カ月間は原輝綺のサッカー人生において重要な時間だったと感じる。いや、有意義な時間にしたのは紛れもなく彼の才能と人間性によるものだと断言できる。
昨年の1年間で予習してきたものに、さらに学ぶ意欲を向上させて、じっくりと整理し、理解を積み重ねてきた。だからこそ、フットボールインテリジェンスは格段の進化を遂げることができた。それを本人にぶつけると、笑顔でこう返した。
「そういった考え方をすることができたことが、この7カ月での何よりの収穫だと思っています。今は学習と予習を継続しながらも、ピッチ上では『復習』が出来ているイメージです」
今は応用の質が研ぎ澄まされている最中。ここにフィジカルコンディションがフィットした時、彼はピッチ上でどんなプレーを見せるのか、話せば話すほど期待が膨らむ。本人も「また違った自分を見せられそうな気がします」と手応えを感じている。
「今季は(J2への)降格こそなくなりましたが、僕は試合に出て、高い水準のパフォーマンスを見せ続けないといけない立場であることに変わりはありません。
それに降格がないとはいえ、J2からの昇格はある。来季はチーム数が増える分、降格も4~5チームとなる可能性もある。そうなると今季の結果が散々になってしまうと、来季をより厳しい状態で迎えなくてはいけなくなる。僕はそれが一番のリスクだと思う。今季と来季は絶対にリンクすると思うので、例年のシーズン以上の気持ちで臨みたいと思います。
いかにいいものを残して、来季へ繋げられるか。そのために今、自分がやるべきことはコンディションを戻して、自分のプレーをしっかりと見せて勝利に貢献することのみ。まずはチームで試合に出て、より自分を上積みしていく気持ちが強いです」
予習、学習、復習。成長へのサイクルとプロサッカー選手としての自覚と責任を携え、原輝綺は待ち望んだ緑のピッチに向かって鼓動を高めている。