“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
マリノス育ち山田康太が水戸で覚醒?
「変なプライドは全て消えました」
posted2020/06/29 18:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
背番号7にボールが集まる。巧みなトラップで足元に収めると、周りを見てテンポよくパスを散らす。左右の足で苦もなくボールを捌くその姿は、まさしくチームの中心と呼ぶに相応しかった。
ついに再開をしたJ2リーグ。ザスパクサツ群馬vs.水戸ホーリーホックの一戦で、ゲームを巧みにコントロールした水戸MF山田康太のプレーに目を奪われた。
小学校3年生のころから下部組織で育ち、“ハマのプリンス”として愛された横浜F・マリノスを離れたのは、昨年8月のこと。名古屋グランパスに期限付き移籍、そしてプロ3年目となる今季は、またも期限付き移籍で水戸にやってきた。いわゆる武者修行中である。
この日も4-4-2のダブルボランチの一角として出場。時間は空いたが開幕戦から2試合連続スタメンとなった。
4カ月ぶりの実戦、頭の中は冷静。
「もう一度、開幕戦を戦っているような感覚でしたね。(開幕戦の)大宮アルディージャ戦も待ち望んだ試合でしたが、(群馬戦でも)最初は緊張というか、硬さがありました」
実に4カ月ぶりの公式戦。胸の高鳴りはなかなか収まらなかった。しかし、山田の頭の中は非常に冷静だった。
「群馬は僕たちと同じ4-4-2なので、ボールを動かしづらい展開になると思っていました。そうなると攻撃の部分で(ボールを)変な取られ方をしたり、相手が勢いに乗ってしまうような取られ方をしてしまうのが怖かったし、相手に『自分たちの守備がハマっている』と思わせるのも嫌だなと思った。相手が活気づくようなプレーをさせてはいけないと思っていたので、この試合ではフィニッシュに絡むの仕事よりも、ビルドアップのところに専念した。失点のリスクを減らし、攻撃の起点にもなる中盤のリンクマンの仕事に徹しようと思いました」