リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
リーガ準備不足にドクター警鐘も、
イスコ、デヨングらケガ人続出中。
posted2020/06/26 11:40
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Getty Images
リーガ再開日が確定した5月末、おおいに心配されていたのは故障リスクの高さだった。なにしろ準備期間が短すぎる。
個別という制限付きで練習が再開されたのが5月上旬。10人までのグループによる練習が許可されたのが5月18日。6月1日にチーム練習を始めたところで、試合までは10日あまりしかない。
リーガの選手たちは3月中旬には外出を控えるようになった。それからおよそ7週間、サッカーの練習と呼べるものはしてこなかった。おかげで深部感覚が鈍っている。状況に見合った信号を脳が筋肉に即座に送るメカニズムが、おかしくなっている。
だから試合中、その修正が間に合わない。
バルサの元責任者もリスクを指摘。
「5週間あればフィジカルコンディションを整えることはできる。が、チームで練習して試合に備える期間が2週間未満というのは短すぎる」
セルタのメディカルチームの責任者であり、スペイン代表のドクターも務めるフアン・ホセ・ガルシア・コタは5月下旬にこう指摘している。
「ケガの予防は身体の使い方を平常化することから始まる。サッカー選手の場合、できる限り試合に近い状況を作ってチーム全体で練習したり、練習試合を実施したりする必要があるということだ。そうすることによって、本番での身体の動きに身体自体が慣れていく」
準備不足の状況下で痛めやすいのは足の筋肉だが、関節や靱帯も危ないとバルセロナのメディカルチームの元責任者ジョルディ・アルデボルは言う。
リスク因子は、同じく実戦的なチーム練習の少なさである。
「試合で必要な動きを身体が忘れている状態は、膝にとって危険です。シーズンの始めに十字靱帯を痛める選手が多いのはそのせいです」