甲子園の風BACK NUMBER
『栄冠は君に輝く』『六甲おろし』も。
スポーツ音楽王・古関裕而、傑作十選。
text by
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph byHideki Sugiyama
posted2020/06/23 07:00
甲子園という高校野球の聖地で聴く『栄冠は君に輝く』は格別。来年こそは……。
阪神と巨人、両方の応援歌を作ってしまう古関。
5位 『スポーツショー行進曲』
プロ野球など、NHKのスポーツ中継番組のオープニングテーマとして、1949年に作られた曲。幼少の頃から長年聴き続けているだけあって、非常に耳なじみのあるマーチ。明るくいきいきとした曲調は、テレビ画面から流れてくるとたびにハツラツとした気持ちになる。
6位 『闘魂こめて』
読売巨人軍球団歌。球団創立30周年記念に読売新聞が詩を公募し、椿三平による歌詞「闘魂こめて 大空へ 球が飛ぶ飛ぶ 炎と燃えて」に、多数のスポーツ音楽を制作してきた古関が曲をつけた作品。
阪神タイガースと読売ジャイアンツ両チームの応援歌を作ってしまうのが古関のすごいところ。それだけ、ヒット作連発の人気作曲家だったということだろう。
7位 『我ぞ覇者』
慶應義塾大学応援歌。早稲田大学応援歌『紺碧の空』の誕生から15年後、ライバルである慶應義塾大学も古関氏に応援歌の作曲を依頼し、1946年に完成した作品。
同曲が出来上がるまでの過程を、“永遠のライバル”である慶應義塾大学應援指導部OB・近藤雄介氏(平成25年度慶應義塾大学應援指導部リーダー部責任者)に聞いたところ、さすがに「『紺碧の空』を作っているので、早稲田大学応援部の許可をとってほしい」と古関氏に言われたというが、すでに許可を取り付けていたそうで、「先輩方の本気度が窺えます」と当時のエピソードを教えてくれた。
4番の歌詞に『よくぞ来たれり 好敵早稲田』『おお打てよ砕け 早稲田を倒せ』という早稲田を意識した部分があるが、ライバル校の名前を歌詞に入れることは、当時としては画期的なことだったという。
8位 『別れのワルツ』
スコットランド民謡『Auld Lang Syne(オールド・ラング・サイン)』。稲垣千頴が日本語の歌詞をつけたのが、卒業式などで広く歌われている唱歌『蛍の光』だ。
このスコットランド民謡が1940年公開(日本公開は'49年)のアメリカ映画『哀愁』でも使われており、そのアレンジを参考に古関が編曲。『別れのワルツ』として日本コロムビアから発売された。レコードには、古関裕而の名前をもじり、「編曲:ユージン・コスマン 演奏:ユージン・コスマン管弦楽団」と表記されている。