佐藤春夫作詞で古関作曲という、幻の1曲が！

特別賞　『文藝春秋社同人に代わりて志を述ぶるの賦』
　まさかの文藝春秋の歌である。自伝『鐘よ鳴り響け』に文藝春秋からの依頼で曲を作ったという記述があり、初耳だったわたしは思わず「えぇー!!」と声をあげ、その場で「御社に古関作品があるんですか……!?」とNumber WebのY編集長に連絡。すぐに調べてくれ、判明したのが『文藝春秋社同人に代わりて志を述ぶるの賦』で、以下がその貴重な楽譜だ。

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　同社の資料によると、1937年の月刊『文藝春秋』創刊15周年を記念し、作詞を佐藤春夫、作曲を古関に依頼したという。

　ちなみにこのときに、佐伯孝夫作詞、鈴木静一作曲で『文藝春秋音頭』も作られており、こちらの貴重な楽譜も見せてもらい、

「よめばたのしい　ぶんげいしゅんじう♪」

　という歌詞を、思わず声に出して歌いながら当時の文藝春秋社に想いを馳せた。

　陽気かつ平和なメロディーは、楽譜を見て歌っているだけで元気が出てくる……（笑）。

 「音頭」と名のつく楽曲は、盆踊りくらいでしか聴いたことがなかったけれど、世の中を明るくする曲ということを、改めて感じたのであった。

　自伝によると、古関は軍歌や歌謡曲、スポーツ音楽以外にも、実に多くの社歌や校歌を作っており、「流行作曲家とは、こういうことだったのだなぁ……」と、しみじみと感じた。

　コロナ禍で4月から収録休止となり、放送も6月27日で一旦休止となる『エール』だが（休止期間中は第1回から再放送）、6月16日からすでに撮影を再開。今後の展開にますます期待したい。

＜参考文献＞
『鐘よ鳴り響け』（古関裕而著／集英社文庫）
ホームページ「古関裕而を歌い継ぐライブユニット『喜多三（KITASAN）』
福島市役所公式サイト
日本コロムビア公式サイト