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藤沢和雄が積み重ねた1500勝。
「馬が最優先」の信念に武豊も感服。

posted2020/06/19 20:00

 
藤沢和雄が積み重ねた1500勝。「馬が最優先」の信念に武豊も感服。<Number Web> photograph by Satoshi Hiramatsu

藤沢和雄師(左)と武豊。このコンビで04年の桜花賞をダンスインザムードで制した。(2019年撮影)

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平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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Satoshi Hiramatsu

 6月13日の函館競馬。第10レースの駒ケ岳特別を勝ったのは4歳の牡馬シークレットアイズ。同馬を管理する藤沢和雄調教師は、これがJRA通算1500勝目。尾形藤吉元調教師以来史上2人目の快挙で、偉大な調教師がまたひとつ素晴らしい記録に到達した。

 以前、武豊騎手に藤沢調教師のことを伺った際、日本のナンバー1ジョッキーは次のように答えた。

「馬1頭1頭の性格をよく把握しているし、こちらに対する質問がすごく多いんです。そういった感性の優れた部分が好成績と無関係ではないと思います」

 天才が感服する伯楽は、果たしてどうしてこれだけの成績を積み重ねられたのだろう……。

英国で見た馬と人との信頼関係。

 1951年9月生まれで現在68歳。牧場の出身で、JRA入りする前にイギリス・ニューマーケットへ飛んだ。競馬の聖地と呼ばれるかの地で4年間、馬漬けの日々を過ごした。

「私の下手な英語を笑わずに聞いてくれたのは馬だけでした」という日々は藤沢調教師の原風景。全てはそこから始まった。

 帰国して日本中央競馬会(JRA)に入り現場で働き出すと、本場とのあまりの違いに驚いた。

「ヨーロッパではあくまでも馬が中心で皆、働いていたけど、当時の日本はまだまだ人が優先でした」

 例えば、こんな事があった。イギリスであるベテランの乗り手が馬に乗っている時の話だ。彼の跨っていた馬が急に立ち上がった際、その乗り手は笑いながら鞍下の馬を指さして「今、彼は神様と話しているんだ」と言ったのだ。

「ヨーロッパでも躾をする時などはしっかりと叱ります。でも、日本の場合は自分の技術が追いついていないのを馬のせいにして馬に怒る。だから馬と人との信頼関係が築けなくなってしまうんだ」

【次ページ】 飼料や敷料、調教を次々と“改革”。

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