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アーモンドアイはなぜ負けたのか。
グランアレグリアが安田記念制覇。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2020/06/08 11:50
アーモンドアイらを抑えてグランアレグリアとともに先頭を駆け抜け、池添謙一はガッツポーズを見せた。
ラスト3ハロンも全体の3番手。
前半800m通過は45秒7。後半800mは45秒9。稍重であることを考えると、速い流れになった。
ペースからすると、アーモンドアイの位置取りは悪くなかった。しかし、向正面の途中から直線入口までずっと、外をペルシアンナイトに塞がれる格好になった。昨年の有馬記念でフィエールマンと併せる形になって失速したように、こうしたプレッシャーのかかる展開は(馬が)好きではないのかもしれない。
4コーナーから直線入口にかけて、もう少し押し上げておきたかったところだが、スペースがなく、じっとしているしかなかった。ラスト400m地点の手前でペルシアンナイトとケイアイノーテックの間を割って前がクリアになったが、そこからの伸びは本来のものではなかった。
いいときのアーモンドアイなら突き抜けていただろうが、前述したような要素が重なってしまい、「お約束」の上がり最速の末脚を使うことができなかった。最速のグランアレグリアが3ハロン33秒7、2番目に速かったノームコア(4着)は33秒8、アーモンドアイは3番目の33秒9だった。
池添「いい位置が取れた」
一方のグランアレグリアは、対照的に、パドックから適度な気合を見せ、ゲートが開いてからの立ち回りも完璧だった。
速いスタートを切り、他馬を先に行かせてスムーズに中団の外につけた。1馬身から1馬身半ほど後ろに昨年の覇者インディチャンプがいて、その1馬身ほど後ろにアーモンドアイがいた。
前走の高松宮記念(2着)からグランアレグリアの手綱をとるようになった池添は「いい位置が取れた」と振り返る。
「いい状態に仕上がっていることを返し馬で感じることができました。折り合いが大事な馬なので、そこに気をつけました。いいリズムであのポジションを取ることができました。あとはタイミングひとつだと思っていました」