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アーモンドアイはなぜ負けたのか。
グランアレグリアが安田記念制覇。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2020/06/08 11:50
アーモンドアイらを抑えてグランアレグリアとともに先頭を駆け抜け、池添謙一はガッツポーズを見せた。
芝の塊が顔に直撃するアクシデント。
道中は、先頭から最後方まで12馬身ほどになった馬群のちょうど真ん中にできたポケットを、1頭だけで走る形になった。
3コーナー付近で、前の馬が蹴り上げた芝の塊が池添の右目の下を直撃し、視界が塞がるアクシデントがあった。一瞬意識が飛びかけたというが、どうにか持ちこたえた池添は、4コーナーでグランアレグリアを外に持ち出した。さらに外からケイアイノーテックがマクるように上がってくると、譲ることなく仕掛け、馬体を併せるようにして直線に向いた。
「どの馬が来たのか(視界が塞がっていたので)わからなかったのですが、蓋をされるのが嫌だったので、自信を持って動かして行きました」
ラスト400m地点で池添が仕掛けると、グランアレグリアはさらに加速し、ラスト200m手前で先頭に立った。池添の右ステッキに応え、見る見る後ろとの差をひろげていく。
外からインディチャンプとアーモンドアイが追い上げてきたが、ラスト100m地点で、もはや逆転は不可能に見えた。
グランアレグリアは2着のアーモンドアイに2馬身半の差をつけ、レース史上最多のGI馬10頭が揃ったマイル王決定戦で頂点に立った。
「この馬の価値が上がったと思います」
「直線で抜け出してからも踏ん張ってくれました。最後は必死で追いました。どのくらい差がついているかわからず、アーモンドアイが来ると思っていたのでヒヤヒヤでした。今日のすごいメンバーを相手に勝てたことで、この馬の価値が上がったと思います」
右目を腫らしながらも、池添は笑顔で話した。
3着のインディチャンプも、直線で進路が狭くなる局面があったが、同馬とアーモンドアイがスムーズな競馬をしていたとしてもどうだったかと思うほど、この日のグランアレグリアは強い競馬をした。