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スカウトはYouTubeで選手をチェック。
ドラフト候補の絞り方も変わった。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byKYODO

posted2020/05/26 19:00

スカウトはYouTubeで選手をチェック。ドラフト候補の絞り方も変わった。<Number Web> photograph by KYODO

昨年のプロ野球ドラフト会議の風景。今年は例年通りの形で開催できるのだろうか。

「ノーマークだったけど、こんな選手がいたんだ」

「ほとんどレアなケースですが、それでも私も実際にありました」

 取材に応じてくれたスカウトもその事実は認める。

「ノーマークだったけど、こんな選手がいたんだという感じですね。これは情報を集めて現場に足を運んで、練習や試合で選手の判定をしていくというこれまでの方法とはまったく違うアプローチ方法になる。

 これまでではひょっとしたら見出せなかった選手を発見する新しい方法かもしれません。そういう意味ではこのコロナ禍の中での、スカウティングの方法としては、予想外の収穫だったと思います」

 約2カ月のテレワークで働き場所を失ったスカウトたちだったが、転んでもタダでは起きない。こうして新しいリストを携えて、再始動への準備を整えていたのである。

甲子園大会は評価にバイアスがかかるケースも。

 コロナ禍で夏の大会が中止となった今夏は、各県では代替大会の開催が検討され、すでに愛知や長崎、秋田などでは県単位での公式戦開催が決定した。他の都道府県でも、少しずつ夏の大会に準ずる“公式戦”や練習試合も解禁となっていくはずだ。

 ただその一方ですでに福岡県は夏の大会の代替大会の開催断念を発表し、今後は同じような地区が出てくることも予想される。今年の高校野球の先行きは、全国的にみればまだまだ暗闇に包まれているのが現状なのである。

「確かに甲子園大会は勝負根性やスター性を観るのに絶好の舞台でした。ただ、その一方で我々も人気に押されて評価にバイアスがかかってしまうケースもある。そういう意味では地方大会というのは、選手を評価していく上では一番、大事な場所。その場がなくなったのは痛いですね」

 こう語るのは別のチームの編成担当だった。

【次ページ】 選手を集めて実技を披露する場所は必要。

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