話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
「やべっちF.C.」が19年続く理由。
リフティング、デジっち誕生の裏話。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byTV asahi
posted2020/05/10 19:55
中野達朗プロデューサーはもう10年以上「やべっちF.C.」の担当をしている。
最大のヒット「デジっち」の誕生。
「やべっちF.C」の名物と言えば、数々の印象的な企画だろう。選手と鍋を囲んで語り合う「なべっちF.C.」、国内外の選手からリフティングの宿題を出される宿題シリーズ。そして最大のヒット企画は、選手やチームスタッフが自らカメラを回す「デジっち」。多くのファンに愛されるこれらの企画は、どのようにして誕生したのだろうか。
――名物企画は、どのようにして生まれてきたのですか。
「『デジっち』でいうと、春のキャンプ取材って各局が行くじゃないですか。でも、そこでできることって、解説者や女性アナウンサーを連れて行って選手にインタビューしたり、練習シーンを撮るとか、ほぼどこの局も一緒なんですよ。
それである時、番組の企画会議で『これ以上のことができないのかな』という話になった時、放送作家から『なんで宿舎の中、撮れないんですか』って聞かれたんです。僕らの感覚でいうと『それはNGだからです』って感じじゃないですか。実際、そうでしたし。
でも『じゃー関係者の人にカメラを持って撮影してもらったらいいじゃないですか』って言われたんです。『あっ確かに、それってやったことないよね』っていうのが『デジっち』の始まりですね」
企画としては反則気味、でも面白い。
――最初、どこのクラブが受けてくれたんですか。
「一番、最初に話をしたのが湘南の広報の遠藤(さちえ)さんだったんです。面白がって引き受けて、カメラを回してくれたんですよ。広報がカメラを回すところからスタートしたんですが、そのうち選手が選手を撮る方が距離が近いし、素の選手の表情が撮れていいんじゃないかという話になったんです。それで今のように選手にカメラを回してもらうようになりました」
――当時、中野さんは「デジっち」についてどう思っていたのですか。
「企画としては反則気味なので『本当にいいのかなぁ』って思っていたんですが、何よりも見たことがない映像が撮れているわけです。『これは面白い』、『いいね』ってスタッフ間では盛り上がりましたね。こちらが取材するのではなく、人任せですが、すごい企画になったなと(笑)」