話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
「やべっちF.C.」が19年続く理由。
リフティング、デジっち誕生の裏話。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byTV asahi
posted2020/05/10 19:55
中野達朗プロデューサーはもう10年以上「やべっちF.C.」の担当をしている。
今はちょっとした「ネタ見せ」に。
――最近は、かなり凝ったつくりになっています。
「そうですね(笑)。こちらが望んだ以上のものを見せてくれてありがたいんですが、それが最近、皆さんのプレッシャーになっている部分もあって……。今のようになるとはまったく想像していなくて、あくまでキャンプ中の選手の素顔を撮ってもらうのが最初の趣旨だったんですけど、今はネタ見せというか、テレビのファン感謝祭みたいになっていますよね。各チームがどれだけおもしろいファン感を見せるのか、みたいな」
――2013年にJリーグ公認の企画にもなったようですね。
「当時、Jリーグのチェアマンが大東(和美)さんだったんですけど、すごく評価していただきました。おもしろいことを見せると中心選手じゃなくても顔と名前を覚えてもらえるじゃないですか。『あのネタやっている選手だ』って覚えてもらって、新しいファンを作っていく。
選手にとっては、ひとつのモチベーションになったでしょうし、各クラブや選手の露出が増えるのでJリーグにも共鳴してもらえたのかなと思います」
リフティングの宿題はガチ。
個人的に楽しんで見ていたのが「宿題」である。国内外の選手がリフティングして、矢部氏が挑戦する企画だ。リフティングの妙技も驚きだが、その顔触れも実に多彩だ。ジダン、シャビ、メッシ、ネイマールなど世界の名だたる選手が登場し、自慢のテクニックを披露していた。
――宿題企画は、どのようにして生まれたのですか。
「矢部さんはリフティングが得意なので、選手にやってもらったものに挑戦して、クリアしてもらおうというのが始まりです。毎回マジでやっていましたし、練習していると本当にできるんですよ。
でもどんどんレベルが高くなって、ネイマール選手や宇佐美(貴史)選手の内転筋を使うリフティングとか、何時間やってもできなかったりするのもありました。この宿題で特番を作れましたし、子どもから大人までトライしてくれるので、サッカーファンには楽しい企画だと思っています」
――海外選手のブッキングはどのようにしているのですか。
「昔でいうとメーカーさんのプロモーションのひとつとして協力していただき、選手にやってもらう感じでした。イベント会場の狭い場所でリフティングはちょうどよくて、ベッカムやジダンにお願いして撮らせてもらいました。彼らも普通のインタビューより面白がってやってくれるところがあったので、うまくハマりましたね。最近は、試合で日本に来た時、例えばドルトムントが来た時にはマルコ・ロイスにお願いしたり、チェルシーのアンバサダーとしてドログバが来た時にお願いしたりしました」