沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
コントレイルが皐月賞をひとマクリ。
「ディープの最高傑作」が真実味。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2020/04/20 11:50
コントレイルとサリオスの2頭が、前評判とおりに他を寄せ付けない一騎打ちを見せた。
後方待機を可能にした返し馬の感覚。
1、2コーナーを回りながら、逃げるキメラヴェリテが後続との差を見る見るひろげて行く。向正面入口では、2番手のウインカーネリアンに6馬身ほどの差をつける一人旅の形に持ち込んでいた。
サリオスは、ウインカーネリアンから4馬身ほど離れた5番手。
コントレイルは、そこからさらに5、6馬身後ろの内目にいた。
「かなり後ろのほうにいたので、これは大変だなと思っていたんですけど、ああなってしまった以上、馬を信じるしかないと思っていました」
福永が相棒を信じることができたのは、馬の能力もさることながら、レース直前に得た感触も大きかったようだ。
「返し馬の走りが非常によくて、この感じなら、今までよりもっといい脚を使えるんじゃないか、と」
「あの形になったら外ですね」
1000m通過は59秒8。馬場状態を考えるとやや速い流れになった。後ろにいるコントレイルにとっては好都合だ。
3コーナーを回りながら、福永はコントレイルを外に持ち出した。ここが大きなポイントになった。
「あの形になったら外ですね。理想は先行集団を見ながら、間を割って行けたらいいなと思っていたのですが。外に出してからは楽な手応えで上がっていきました」
ラスト600m付近で前のマイラプソディが動くと、コントレイルは、その外からマクるように進出。内から食らいついてきたサトノフラッグと併せる形で大外を回り、直線に入った。コーナーを多少大回りすることにはなったものの、進路を塞がれることなく馬場のいいところをスムーズに加速。1頭だけ突出した速度で楽にポジションを上げる走りは、父ディープインパクトを彷彿させるものだった。