サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
JFAがeスポーツに乗り出す理由。
リアルサッカーへの誘導「ではない」。
text by
河崎三行Sangyo Kawasaki
photograph byKiichi Matsumoto
posted2020/04/04 20:00
JFAマーケティング部の森田恭平氏。JFAでは、ゲームメーカーとのライセンス交渉などの仕事をしてきた。
フランスではムバッペとの交流も。
また競技力と比例するように、eスポーツ・サッカーのステイタスも、ヨーロッパではぐんぐん上がっているのだとか。
「その点でもやはりフランスは進んでいて、リアルなサッカーのフランス代表のムバッペ(パリSG)が、eNations Cup前に合宿していたフランス代表を訪ね、選手と一緒にゲームに興じている動画を協会のツイッターで配信したりしています。そういうブランディングの手法は我々JFAも見習って、サッカーe日本代表の選手とサムライブルーの選手が顔をそろえるような露出の仕方も検討していきたいですね」
もし5月のeNations Cup本大会でサッカーe日本代表が好成績を収めることができれば、我が国でも彼らのステイタスを一気に上げる絶好の機会、だったのだが……。
大会がたとえ中止でも、eスポーツは続く。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、3月8日に予定されていた日本代表選考会は一度延期となった後、3月30日に中止の決定が下された。現時点で、代表プレーヤーの選出方法は未定だ。
こうなると、4月に予定されているオンライン対戦によるアジア地域予選も予定通りには行われないだろう。開催さえされれば、日本は実力的に突破確実と見られているのだが……。
いやそれどころか、6月中旬から欧州12カ国で開催されるはずだったEURO2020さえ来年への延期が決定した今、5月のeNations Cup本大会が開催される見込みは、限りなく薄いと言わざるを得ない。
ただJFAとしては、本大会が中止になった場合でも、eスポーツ・サッカーへの取り組み自体は精力的に続けていくという。
立ち上げ早々に見舞われた想定外の逆風を吹き飛ばし、「災い転じて福となす」ことができるのか。eスポーツ施策で先行する欧州の協会をあっと驚かせるようなJFAの発想力、プロデュース力を期待したい。