eスポーツは黒船となるかBACK NUMBER
「オンラインで部活もできますよ」
N高に学ぶ、リモート組織の極意。
posted2020/04/15 18:00
text by
八木葱Negi Yagi
photograph by
Sports Graphic Number
緊急事態という怪獣映画でしか聞いたことがないような言葉が現実となり、日本にリモートワークという概念が急速に広がりつつある。
もちろん医療や介護、小売や配達などリモート化が難しい業種はたしかに多く存在する。その中には人々の生活に必須なものが多く含まれていて、生活基盤を支えてくれる人々には感謝するほかない。
しかし、「本来はリモート化できる部分があるのに、固定観念でできないと思っている」業種、活動というのも実際は数多く存在するだろう。
たとえば、部活である。
3月に予定されていた春の甲子園、通称センバツが中止になった。おおもとの学校が休校になっている時に、部活だけが動くのは確かに不自然だ。
しかしちょっと気になったのは、部活を強行するか中止するかがまるで二者択一のように議論されていたことだ。「オンラインで代替できる部分だけでも継続を」というような“リモート部活”を検討する声はほとんど目にしなかった。
感染防止が目的なのだから、オンラインで代替できる部分は続ければいい。部活は教育課程ほど法令の縛りも強くないので、関係者の合意さえ取れれば形式にはかなりの自由度がある。
それに感染症とは直接関係ないが、オンラインなら活動時間の記録も残るし、録画があれば活動内容の検証もできる。パワハラや人間関係トラブルの調査もずいぶん簡単になる。
いいことずくめではないか。
世の中には、オンラインの部活が存在する。
そう思って探してみれば、すでに世の中には、活動のほぼ100%をオンラインで行っている部活が存在する。角川ドワンゴ学園N高等学校の「ネット部活」である。
N高は通信制教育をメインとして(通学コースも存在する)、2020年4月時点で1万4000人以上が在籍する日本最大級の通信制高校だ。
そのN高には美術部や将棋部のような一般的なものから、投資部、起業部、さらには人狼部なんていう珍しい部も存在する。
その中から「競技的な側面があり、個人ではなくチームでの活動を含む」ということで、今回はeスポーツ部の顧問である金堂宏昭さんにお話を聞いた。ちなみにこの取材も、オンラインのビデオ会議で行われている。