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初の女性棋士誕生、ハナ差届かず。
「奨励会」経験記者が知る過酷さ。

posted2020/03/10 07:00

 
初の女性棋士誕生、ハナ差届かず。「奨励会」経験記者が知る過酷さ。<Number Web> photograph by Kyodo News

2018年マイナビ女子オープンを制した時の西山朋佳三段。2019年には女王、女流王座、女流王将の三冠を独占した。

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片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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Kyodo News

 東京・千駄ヶ谷の将棋会館で3月7日に行われた、第66回奨励会三段リーグの最終日。女流棋戦でも当然のように活躍している西山朋佳さんが、その日の2局も連勝して14勝4敗の好成績を積み上げたが、「同星は順位優先」の規定で惜しくも次点となった。

 女性として初めて、奨励会を卒業して男子プロと同じステージに立つ資格獲得の快挙にハナ差届かなかった。

 それでも今期の三段リーグ30人中の3位。こんなに強い女性が現れることを、林葉直子さんや中井広恵さんの時代には想像もできなかった。

 6級(それでもアマチュア四段以上の棋力が求められる)からスタートする奨励会は、規定の昇級昇段の成績(低級者でも6連勝か9勝3敗程度が必要)をあげることによって1段階ずつレベルを上げていく。

 三段は奨励会の最高位で、そこまで登り詰めた者だけがこの厳しい三段リーグに参入できるシステム。温情や忖度が入り込む余地がまったくない、合理的に選りすぐられた精鋭たちが半年ワンクールのロングランを棋士の地位をかけて戦うのだ。

 その結果、めでたく卒業と認められるのは上位2人だけ。西山さんはそこからたった一つこぼれての、同成績での3位。いわゆる頭ハネとなった。

「次点」を獲得し、もう一度それを獲得することで卒業する権利が生じたが、当事者にとってはその「おまけ」が近い将来に効力が出てくると考えることができるのかどうか。

渡辺明、藤井聡太が抜けた時より……。

 渡辺明三冠、藤井聡太七段が三段リーグを抜けたときの成績がともに13勝5敗だったのだから、今期の西山さんの成績がどれほど優秀で、しかも不運だったかがわかる。いまはただ悔しい思いしかないことだろう。

 奨励会には厳格な年齢制限規定がある。以下に条文をそのまま記す。

<満21歳の誕生日までに初段、満26歳の誕生日を含むリーグ終了までに四段になれなかった場合は退会となる。ただし、最後にあたる三段リーグで勝ち越しすれば、次回のリーグに参加することができる。以下、同じ条件で在籍を延長できるが、満29歳のリーグ終了時で退会。>

【次ページ】 三段リーグで戦えるのは残り3回。

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