オリンピックへの道BACK NUMBER
競泳・日本選手権中止で感じたこと。
選手が意思表明しやすい土壌が必要。
posted2020/03/29 09:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Natsuki Sakai/AFLO
4月2日から7日にかけて実施が予定されていた競泳の日本選手権が中止となった。
東京五輪の日本代表選考会を兼ねていた大会だ。
新型コロナウイルス感染の問題が起き、3月13日には無観客での開催に変更。
3月24日に東京五輪が1年程度の延期となったあとの25日、日本水泳連盟は、いったんは五輪代表選考会としてそのまま行なうと発表したが、同日夜になって、一転、中止することが決まった。
25日夜、小池百合子都知事が外出自粛の要請を会見で出したこと、全国から集う選手や関係者が感染するリスクがあること、無観客とはいえ、1000人以上の規模になること。それらが急きょ、変更となった理由だという。
瀬戸の内定に関しては維持されるべき。
このような経緯をたどって中止に至ったが、それ以前に疑問も湧く。
1つは、オリンピックが延期になったのに、一度はそのまま代表選考会を開くと決めたことだ。
競泳は、昨夏の世界選手権で金メダルを獲得し規定によりすでに内定している瀬戸大也を除き、日本代表を日本選手権で決める「一発選考」をとっている。
話はそれるが、先の記事(https://number.bunshun.jp/articles/-/842984)で記したように、瀬戸の内定に関しては維持されるべきだと考える。
代表に選ばれる条件は、日本選手権の順位に加え、設定された派遣標準記録をクリアすること、とされている。
タイムはオリンピックで決勝に進出することが見込めるレベルで設定。過去の実績にかかわらず、一度の大会で、ハイレベルな泳ぎが求められる。