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ルメールも観客もいない高松宮記念。
モズアスコットにかかる厩舎の偉業。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byYuji Takahashi

posted2020/03/28 18:00

ルメールも観客もいない高松宮記念。モズアスコットにかかる厩舎の偉業。<Number Web> photograph by Yuji Takahashi

フェブラリーステークスではダートとの二刀流を完成させたモズアスコット。芝に戻り、今回はどうか。

馬券の売り上げは80%を維持。

 世界がグローバル化したことが拡散のスピードを速めているというウイルスの性質そのままに、競馬界における影響の出方も、各国の状況が絡み合っている。

 日本ではインターネット投票が普及しているため、無観客競馬でも、JRAではおおむね前年比80%ほどの売上げを確保している。地方競馬では、黒船賞が行われた3月10日の高知競馬場のように売上げレコードを記録したところもある。それでも、やはり、観客のいない競馬というのは寂しい。

 さて、そうしたなか、節目の50回目を迎えた高松宮記念が行われる。

 今回の出走メンバーで、コロナ禍による影響を最も強く受けたのはモズアスコット(牡6歳、父フランケル、栗東・矢作芳人厩舎)かもしれない。

 当初は4月4日にオーストラリアのランドウィック競馬場で行われるドンカスターマイルに出走を予定しており、出国検疫のため東京競馬場に入っていた。が、オーストラリア政府が検疫体制を強化したことと、開催中止のリスクもあるため、遠征を中止。目標をここに切り換えた。

鞍上はルメールからデムーロへ。

 といっても、オーストラリア遠征を取りやめたら高松宮記念に行くという方針を、矢作調教師が早くからスタッフに知らせていたため、その後の調整はスムーズに進んだ。

 一昨年の安田記念と今年のフェブラリーステークスを勝ち、この馬を二刀流王者としたのはルメールだった。鞍上が空白になっていたが、ミルコ・デムーロを確保した。

 デムーロは、2014年にコパノリチャードでここを勝っているし、2018年の朝日杯フューチュリティステークスでは、今回最大のライバルになりそうなグランアレグリアに直線入口で一気に馬体を寄せて勝つなど、強い牝馬の負かし方を知っている。

 週末の雨予報も、成長するにつれパワー型になりつつあるこの馬にはプラスだろう。スプリント戦は初めてになるが、1400mで8戦して3勝、2着4回、4着1回(うち1戦はダート)という成績からしても、心配なさそうだ。

【次ページ】 勝てば矢作調教師はGI4連勝。

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