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ルメールも観客もいない高松宮記念。
モズアスコットにかかる厩舎の偉業。

posted2020/03/28 18:00

 
ルメールも観客もいない高松宮記念。モズアスコットにかかる厩舎の偉業。<Number Web> photograph by Yuji Takahashi

フェブラリーステークスではダートとの二刀流を完成させたモズアスコット。芝に戻り、今回はどうか。

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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Yuji Takahashi

 今週末の第50回高松宮記念(3月29日、中京芝1200m、4歳以上GI)は、戦後初の無観客GIとなる。

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、JRAで無観客競馬が行われるようになってから、これが5週目。高松宮記念に有力馬2頭を送り出す藤沢和雄調教師も話しているように、競馬が実施されるだけでもありがたい。

 日本馬に関係の深いところでは、現地時間の3月28日に行われる予定だったドバイワールドカップを含む一連の国際招待レースが急きょ中止となった。

 すでに現地入りしていたアーモンドアイをはじめとする20頭の日本馬(サウジアラビアでレースをしてから現地入りした馬たちもいる)は、遠距離輸送と検疫という大きなストレスだけを受けることになった。

 それに先立ちイギリスでは、4月4日に予定されていた世界最高峰の障害レース、グランドナショナルのほか、すべての競馬開催が4月末まで中止になると発表された。フランスやアイルランド、南アフリカでも4月中旬まで開催が中止に。

 また、5月2日に予定されていたアメリカのケンタッキーダービー(チャーチルダウンズ競馬場ダート2000m)が9月5日に延期されることになったり、同じケンタッキー州のキーンランド競馬場も4月24日までの開催を中止することが発表されたりと、コロナ禍は、世界中の競馬開催に影響を及ぼしている。

ルメールは先手の行動が裏目に。

 悪い形に嵌まってしまったのは、クリストフ・ルメールだ。日本からUAE(アラブ首長国連邦)への入国制限がかかって「一番大事な馬」であるアーモンドアイに乗れなくなったら困るからと、3月20日から22日の日本での騎乗をキャンセルし、その前にドバイに入った。

 しかし、彼がドバイにいる間に状況はどんどん悪化していった。レース6日前の3月22日にドバイワールドカップの中止が決定。その後日本に帰国したのだが、感染拡大防止のため、帰国日の翌日から14日間、自宅に待機することをJRAから要請された。そのため、今週の高松宮記念ばかりでなく、来週の大阪杯にも騎乗することができなくなった。

 言ってもせんないタラレバだが、もし今週乗ることができれば、高松宮記念ではグランアレグリア、タワーオブロンドン、モズアスコット、ノームコアという4頭もの有力馬から騎乗馬を選ぶことができたのだ。

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