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日英の新聞報道を比較して見えた事。
五輪延期、主導はIOCか日本か。

posted2020/03/26 17:00

 
日英の新聞報道を比較して見えた事。五輪延期、主導はIOCか日本か。<Number Web> photograph by Kyodo News

バッハ会長と、安倍首相。IOCと日本の利害は一致している部分と異なる部分があった。どちらが上手だったのか。

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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Kyodo News

 東京オリンピック延期の一連の流れの中で、IOCの「株」はずいぶんと下がった。

 3月17日の理事会の後に「予定通りの開催」を発表しながら、1週間で延期を決定。この間、「4週間以内に延期を含めた複数のシナリオを検討する」と言って、世界中の選手から非難が巻き起こっていた。

 もともとマラソン、競歩の札幌移転も日本人の「マラソン愛」を無視してIOCが強引に決めたこともあり、この巨大組織への信用は薄らいでいた。

 そこに来て、コロナウイルス禍によって誰がどう見ても中止か延期の判断しかないだろうに、IOCと日本政府はずっと「予定通りの開催」を主張してきた。

 そして最終的に、延期。

 このドタバタ劇の背景には何があったのか。

 イギリスと日本、両国の新聞を読み比べていたら(最近、コロナウイルスの情報を集めるため、「外電中毒」になっているのだ)、とても興味深いことが浮かび上がってきた。

安倍総理が「語らなかったこと」。

 まず、イギリスの『ガーディアン』紙。この新聞は、昨年のラグビー・ワールドカップの報道で、図抜けていた新聞社だ。

『ガーディアン』のショーン・イングル記者は、3月25日午前7時、一連の流れをこうまとめた。

 3月16日の主要7か国(G7)首脳とのテレビ会議のあと、安倍総理は「完全な形での開催」を強調したが、IOCのメンバーがこの会見で注目したのは、安倍総理の口から「語られなかったこと」だったという。

 このとき初めて、安倍総理は「2020年7月開催」ということに言及しなかった。

 さては、さすがの日本も延期もやむなしと考えたか――。

【次ページ】 「日本のメンツを失わせない」というテーマ。

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