バレーボールPRESSBACK NUMBER
ドイツでの半年で変貌した川口太一。
同級生・石川祐希らに刺激も受けて。
posted2020/03/26 19:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Yusuke Kurosawa
世界中のスポーツが新型コロナウイルス感染拡大の影響を受ける中、バレーボールも、イタリア、ポーランド、フランスなどのリーグが中断を余儀なくされ、ドイツリーグは中止となってしまった。
今季、ドイツ・ブンデスリーガのロッテンブルクでプレーしたリベロの川口太一(ウルフドッグス名古屋)は、「3月14日の試合に向けて普通に練習していたんですが、12日の練習後に急に、中止になったと聞いて、本当にびっくりしました」と振り返る。
ロッテンブルクは9位で、8位以上によるプレーオフ進出の可能性もあっただけに無念さは隠せない。
ただそれ以上に、「今季は得たものがすごく多かった。これからのために大切なことを学べました。本当にドイツに行ってよかった」と充実感を漂わせた。
スターティングリベロとして試合に出続けたことはもちろん、人としての視野が広がったことが、一番の収穫だったと言う。
英語力を生かして適応した川口。
川口は、所属するWD名古屋(昨季までは豊田合成トレフェルサ)の海外育成出向制度を利用して、2018/19シーズンから海外でプレーしている。
川口はWD名古屋でトミー・ティリカイネン監督やクリスティアンソン・アンディッシュ前監督と英語でコミュニケーションを取る努力をしていたため、英語での会話を苦にしない。しかし昨季プレーしたフィンランドのサボバレーでは、チームメイトも監督もフィンランド語を使用していたため、なかなか周囲とコミュニケーションを取ることができなかった。
その点、今季プレーしたドイツリーグは外国人枠がなく、様々な国の選手が集まる。ロッテンブルクにも6カ国の選手が所属し、チーム内の公用語は英語だったため、今季は持ち前の英語力を活かすことができ、それによって得られたものが大きかったと言う。
「多種多様な選手が集まる環境の中で過ごすことで、あ、そういう考え方もあるんだな、そういう生き方もあるんだなと感じることが多かった。今までは1つの角度からしか物事を見られなかったんですが、多面的に物事を見る力が身についたんじゃないかなと思います」