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Vリーグ入替戦中止で食い違う解釈。
混乱を招いた原因、Jリーグとの差。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byV.LEAGUE
posted2020/03/25 15:00
V2・2位のヴォレアス北海道は、3月14、15日の入れ替え戦でV1・10位のVC長野と対戦する予定だった。
決め手を公表しなかった理由。
「中止の一番の理由は、体育館が使えなくなったためです。最初は体育館の持ち主である日本製鉄さんや運営スタッフとなる大阪府バレーボール協会の皆さんも『なんとか無観客でできないか』『やりましょう』という形で実現に向けて進んでいました。
ところが3月6日の朝ですね。体育館の近隣の住人から『なぜこんなときにやるんだ』というクレームの電話が、何本も日本製鉄さんの事業所に入っているということがわかりました。日本製鉄社内も、新型コロナウイルスの流行を受けて出張禁止や会議禁止の措置を取り始めていました。そういった現状を見て『使用禁止にさせてください』と、間に入っていたブレイザーズスポーツクラブの担当者から電話がありました」
会場となっていた日本製鉄堺体育館は1部リーグに属する堺ブレイザーズの運営会社・ブレイザーズスポーツクラブのメインスポンサー、日本製鉄所有である。沖事務局長は続ける。
「ただ、我々としては企業の名前を出して『体育館が使えないからできない』と大々的に発表するのは迷惑をかけると考え、避けたかった。もともと会場がなく、大阪府バレーボール協会も含めて、こちらが無理やり頼んでお願いした経緯があったので、そこを悪者にするわけにはいかないと考えたからです」
会場はあっても、人材確保が難しい。
2月28日の理事会でチャレンジマッチを無観客で行うこと、ただし体育館の使用禁止や運営に携わる大阪府バレーボール協会のスタッフ確保ができない場合は中止とする旨を話し合い、すでに理事会で決定していた。そのため嶋岡(健治)会長判断で中止の決断を下したと沖事務局長は振り返る。
「あえて理由を伏せていたので『なぜ?』と言われるのは理解できます。ただ中止の決定をするときも各理事にはその旨を連絡していますし、異議はありませんでした」
とはいえ延期の可能性も残されていたのではないか。
「延期については6日の朝の体育館使用禁止の第一報から、決定の発表に至る夕方まで、近畿地区……大阪、兵庫、滋賀、京都、奈良の体育館の、思いつく限りの会場を当たりました」(沖事務局長)
体育館のスケジュールが空いていても運営スタッフが確保できないところもあり、中止に至ったと話す。Vリーグの会場運営やボールボーイ、モッパー(床清掃)のほとんどはバレーボール協会やボランティアスタッフに支えられているのが現状だからだ。
とはいえ、延期を検討するために、もっと時間をかけてもよかったのではないかという疑問も残る。ヴォレアス北海道が納得できないのも、中止に至るまでの経緯があまりにも早く進んだ感があるせいだろう。
「そもそも2月28日の理事会で『体育館が使えなかったら中止』という決定をしている。その決定を覆すほどの理由がなかったということです」(沖事務局長)