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Jリーグ中断で今、何が起きてる?
クラブ財政への配慮と厳しい日程。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAFLO
posted2020/03/24 18:00
巨大組織の、巨大な決定。村井チェアマンにとっても難しいのは承知の上だが、はやさこそが価値を生む場面でもあるはずだ。
現状の最速は4月3日再開だが……。
昇格をターゲットとするチームにとっては、プレーオフがなくなっただけではない難しさがある。クラブ内に感染者が出てベストメンバーで戦えず、不本意に勝点を失っても昇格レースは続いていく。
選手の体調管理は、J1クラブよりも大変になるだろう。とりわけ、首都圏のチームは地方クラブより感染リスクが高く、移動の多いチームは不特定多数の人との接触機会が増える。ピッチ外で不利益を被るチームが生まれかねないが、こればかりはそれぞれの当事者に消化してもらうしかない。
23日にはJリーグと日本野球機構(NPB)による4度目の新型コロナウイルス対策連絡会議が開かれた。会議後の記者会見では、専門家チームから「早期に開催するのは非常に難しい。できる限り開催を遅らせていただきたい。4月のはじめではなく後半に」との意見が聞かれた。
Jリーグは4月3日からの再開を目ざしており、3月25日に最終的な決定を下すとしている。そのとおりに動き出すならば、感染リスクを抑えるためにも無観客試合がほぼ唯一の選択肢となる。
無観客試合は支払いすら生じる。
リーグ戦が行われていない現状で、各クラブの収入は基本的にレプリカユニフォームなどの物販だけである。延期前の2月にリーグ戦とルヴァンカップを開催したクラブはひとまず収入を得ているが、2試合ともアウェイゲームだったクラブもある。2月、3月の収入が激減しているクラブは、確実に存在する。
無観客試合となれば、年間シートの購入者にその一部を払い戻さなければならない。広告掲出企業への一部払い戻しといった事態も想定される。お金が入ってこないばかりか新たな支払いが生じるところに、無観客試合の難しさがある。通常よりコストは抑えられるとしても、警備上のコストもかかる。