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Jリーグ中断で今、何が起きてる?
クラブ財政への配慮と厳しい日程。
posted2020/03/24 18:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
AFLO
そろそろ、決断のタイミングではないだろうか。
Jリーグをいつから再開するのか、についてである。
前進はしている。先週末にはJ1、J2、J3のいずれも「昇格ありの降格なし」とのアナウンスがあった。これは正しい判断である。
集団感染は、「換気の悪い密閉空間」、「人の密度が高い」、「近距離での会話」という3つの条件が重なることで発生しやすくなる。たとえば、室内での筋トレや練習前後のメディカル的なケアでは、3つの条件が成立しやすくなってしまう。
マッサージなどの身体のケアは、専門家会議の見解に照らせば濃厚な接触である。クラブと個人が細心の注意を重ねても、リスクをゼロにすることはできない。
Jリーグがいつ再開されることになっても、感染のリスクを抱えることになる。Jリーガーが生活を営む日常にも、目に見えないリスクが漂っていく。
順位の不公平感を緩和するために。
チームにひとりでも感染者が出たら、濃厚接触者も含めて14日間の隔離になる。再開後のリーグ戦はタイトな日程が確実で、14日間は4試合から5試合分に相当する。
感染者が出てしまったチームは、勝点12(4試合)から勝点15(5試合)の増減分を、ベストメンバーで戦えないわけだ。2種登録の選手や大学生を中心とする特別指定選手を大量に起用して、どうにか試合を成立させることはできるかもしれない。しかし、本来の実力に基づいた結果は担保できず、順位に不公平感が入り込んでいく。
そうかと言って、感染者の出たチームの試合を、個別に延期することはできないだろう。感染のリスクを覚悟しながらリーグ戦を消化していくには、勝点の意味を問い直す必要が出てくる。下部リーグへの降格をなしとするのは、「予防」だけでは抑えきれない「不安」をクラブと選手から取り除く処置と言うことができる。