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Jリーグ中断で今、何が起きてる?
クラブ財政への配慮と厳しい日程。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAFLO
posted2020/03/24 18:00
巨大組織の、巨大な決定。村井チェアマンにとっても難しいのは承知の上だが、はやさこそが価値を生む場面でもあるはずだ。
クラブの財政基盤も揺らいでいる。
同時に、クラブの財政基盤への配慮でもある。
どのタイミングでリーグ戦が再開されても、スタジアムが熱狂に包まれるかどうかは分からない。平日のナイトゲームでは、「仕事や部活が終わらないから」といった理由で、観戦をあきらめざるを得ない人がいる。
さらに加えて、Jリーグは大規模イベントである。時間のやり繰りはできても、自粛をする人はいるだろう。連戦だけに試合を選ぶ人も出てくる。観客動員増へのハードルは多い。
入場者が減れば、入場料収入も減る。試合当日の物販収入やスタジアムグルメなどの収入も、同じように減ると考えるのが妥当だ。
Jリーグ各クラブの収入源で、入場料収入はスポンサー収入に次ぐ。大きな財源が揺らぐうえでJ2降格となれば、次年度以降の経営に悪影響が及びかねない。企業活動がこれだけ縮小していれば、スポンサーから撤退する企業も出てくると想定しておくべきだ。自助努力だけではカバーしきれない事態を含むなかで、降格クラブを作らないのはJリーグが示すべき救済措置だった。
2チームのみの昇格は現実的な対応。
下部リーグへの降格がなくなったことで、昇格の基準も見直された。J2からJ1の昇格は2チームとなり、3位から6位が出場するプレーオフは実施されない。
J2各チームからすれば、昇格枠が1つ減ってしまったことになる。ただ、J1のクラブもまじえてプレーオフが実施された2018年と2019年は、いずれもJ1の16位チームが残留を果たしている。
これから組み直されるスケジュールにおいて、プレーオフの日程を確保するのは難しかったとも考えられる。新型コロナウイルスの感染拡大というリスクと向き合いながら、J2各チームのモチベーションを奪わないためにも、上位2チームの昇格は現実的な対応と言っていい。