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新型コロナウイルスと開幕延期。
アメリカ野球の復元力に期待する。 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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posted2020/03/16 20:30

新型コロナウイルスと開幕延期。アメリカ野球の復元力に期待する。<Number Web> photograph by Getty Images

3月12日、試合後手を消毒するマイアミ・マーリンズの選手。この日、オープン戦の中止シーズン開幕戦の延期が決まった。

マスクを一瞬でも外した者に50ドルの罰金。

 写真に添えられたキャプションを読んでみると、《試合は延長11回にまでもつれ込んだ。選手はプレーに熱中し、審判は大声でコールし、観客は喚声やどよめきをあげつづけたが、だれひとりマスクを外さなかった。フィールドや客席に青い制服を着た衛生監視員が配置され、マスクを一瞬でも外した者に50ドルの罰金を科していたためだ》とある。

 同じころ、ロサンジェルスではコンサートホールや教会や劇場が閉鎖され、ボクシングの試合や戦時債券売り出しのパレードも中止された。違反者には500ドルの罰金や6カ月の禁固刑が科されたそうだから、新型コロナウイルスに呻吟する21世紀の現在と大きな差はない。

ワールドシリーズが繰り上げられた理由。

 1918年の大リーグは、疫病流行のために試合の開催を中止したり、無観客試合を施行したりすることはなかった。

 ただ、ワールドシリーズの開催は9月5日に繰り上げられた。これは疫病のせいではなく、第一次大戦に参戦していたアメリカ軍の圧力(「球界だけが戦争と無関係なわけではない」という批判)が原因だったといわれる。

 ちなみに翌19年は、出征した野球選手の帰還を待つため、シーズンが年間140試合に短縮されている。

 規制が比較的ゆるやかだったのは、平均観客数が5000人前後に過ぎなかったことと、強力な権限を持つコミッショナーが存在しなかったことが理由だろう。

 1919年に起こったブラックソックス・スキャンダル(ホワイトソックスの8選手がワールドシリーズで片八百長を演じた事件)で厳しい処分を下したケネソー・マウンテン・ランディス判事が初代コミッショナーに就任したのは、1920年11月になってからだった。

【次ページ】 ジフテリアやジカ・ウイルスとも戦った。

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