酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
今、1試合平均観客はNPB>大リーグ。
川崎球場の“29人”から隔世の感。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNaoya Sanuki
posted2020/03/12 10:00
2019年に行われたイチローの現役ラストゲーム。東京ドームはまさに立錐の地なしという状態だった。
セパの格差は長嶋茂雄入団から。
それでも当時の観客動員からは球団、リーグのある程度の「人気動向」はわかる。
セ・パ両リーグの人気は、1958年、長嶋茂雄が巨人に入団したころからくっきりと差が付き始めた。
<1958年>
セ529万9100人
パ358万5100人
<1979年>
セ1075万2000人
パ522万人
この時点でダブルスコアになっている。その後、パ・リーグが盛り返す。
<2004年>
セ1377万人
パ1068万4000人
<2019年>
セ1486万7071人
パ1166万9891人
近年の観客動員の増加は、パ・リーグがセの水準に追いついてきたことが大きいといえよう。
最多動員記録は2005年の甲子園。
2005年の実数発表以降の1試合の観客動員数の記録は、2005年の阪神甲子園球場で記録されている。
公式戦は9月29日の阪神vs.巨人で4万8576人、
日本シリーズは10月26日の阪神vs.ロッテの4万7810人。
この年オフに阪神甲子園球場は「21世紀の大改修」に着手し、バリアフリー化のために定員が少なくなり4万7000人になっている。今後、この記録が更新されることはない。
昭和の時代、筆者は閑古鳥が鳴いていたパの球場によく行った。
不入りの時はスタンドから「1人、2人……」と数字が数えられたときもあった。特に大阪球場の三塁側は、ほとんどお客がいないこともあった。三塁側のお客が一塁側の売り子に「おーい、ビール!」と呼びかけていたのを覚えている。
そういうときでも球団発表は「1000人」だった。私たちは「俺らひとりが10人くらいか」などと言い合ったものだ。