酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
今、1試合平均観客はNPB>大リーグ。
川崎球場の“29人”から隔世の感。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNaoya Sanuki
posted2020/03/12 10:00
2019年に行われたイチローの現役ラストゲーム。東京ドームはまさに立錐の地なしという状態だった。
楽天の本拠地の定員とほぼ同じ。
平均観客動員3万人と言えば、楽天の本拠地、楽天生命パーク宮城の定員とほぼ同じだ。今のプロ野球は「満員が当たり前」になっている。それだけに無観客試合の寂しさがこたえるのだが。
昨年、最も観客動員が多かったのは阪神。72試合で309万1335人を動員した。一昨年は巨人で72試合で300万2347人。
このところ巨人と阪神が入れ替わりで1位になっているが、これは現在のNPBが143試合制で、チームによって主催試合が72試合と71試合に分かれるからだ。巨人、阪神では主催試合が72試合だった方のチームが1位になっている。平均すればともに4万2000人ほどだ。
昔は実数でなく大雑把な球団発表。
しかしこの数字は、歴代の1球団観客動員記録ではない。巨人は2002年に378万3500人を動員した。70試合だから1試合平均5万4050人。これが最大だ。
でも昔の野球を知っている人は「これは本当の数字ではない、球団発表だろ?」というはずだ。
その通りだ。NPBでは、2005年からは観客動員を「実数発表」することになったが、それ以前は「球団発表」だった。多くの球団は「何万何千人」という大雑把な数字を出していた。だから2004年以前の観客動員は、多くの球団で下2桁、3桁が「0」の「丸い数字」だった。
2004年まで東京ドームの観客動員は判で押したように5万5000人だった。当時でも日本シリーズなどNPB主催の試合では実数発表していたが、その数字によれば東京ドームでは満員札止めで4万5000人程度。ざっと1万人は下駄をはかせていたことになる。
これは巨人だけでなく12球団がそういう感じで、その頃の数字は当てにならなかったの
だ。
ちなみに2005年に実数発表になって、巨人の観客動員は2004年の374万4500人から292万2093人に急減している。はいていた下駄を脱いだ、ということになる。