箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
駅伝のない春、大学陸上部は何を?
意外に重要な「トラックシーズン」。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Suenaga
posted2020/03/15 11:40
箱根駅伝を最大の目標とする駅伝部・陸上部も、1年間その練習だけをしているわけではない、というのは面白いところだ。
関カレで目立った選手は駅伝でも強い。
関カレは、監督にとっては各大学の個々の選手の状態を確認し、新しい選手をチェックする場でもある。昨年は国学院大の浦野と土方英和が素晴らしい走りを見せ、他の箱根常連校が「今年はくるな」と警戒感を抱いていた。関カレで活躍する選手は、故障しない限り、駅伝シーズンでも活躍が想像できるからだ。
大会は総合優勝がかかっているので、レースは勝負に徹することが求められる。タイムではなく、順位にポイントがつくからだ。順位を勝ち取るには相手と駆け引きして勝たなければならない。陸上はタイムも大事だがレースで勝つことが重要であり、それが本物の強さにつながる。
順位優先のため、選手はある程度タイムについては割り切って走るが、本当に力のある選手は勝利とタイムの二兎を追う。自己ベストを出して勝てれば単純にうれしいし、それまでの取り組みに間違いがなかったと自信を持てる。4月から個人種目に向けて練習をしてきた選手にとって、関カレは上半期の練習の成果を見る中間試験でもあるのだ。
また、タイムを出して参加標準記録を切れば、6月の日本選手権の出場権を得られる。昨年の日本選手権はドーハ世界選手権選考会も兼ねていたので関カレでの選手の鼻息が荒く、異常な暑さの中でも果敢に攻めたレースが多かった。
今年は、関カレからどんな選手が出てくるのだろうか。
全日本の関東予選もこの時期。
6月は日本選手権に加え、3大駅伝のひとつ全日本大学駅伝の関東予選会がある。
ここが、前年にシード権を失った大学にとっては非常に重要なレースになる。予選会は1校2名ずつ、4組で1万mレースを行い、8人の総合タイムで順位を決める。そのため4月、5月はスピードを身につけつつ、距離を踏む練習をこなして予選会に備える。
全日本大学駅伝は、箱根につながるレースなので重視している大学が多いのだ。ちなみに昨年は東京国際大、明大、早大、日体大、中央学院大の5校が本大会の出場権を獲得している。