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センバツ21世紀枠・平田高校の強み。
植田監督が語る「目に見えない力」。 

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高木遊

高木遊Yu Takagi

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posted2020/03/03 20:30

センバツ21世紀枠・平田高校の強み。植田監督が語る「目に見えない力」。<Number Web> photograph by Yu Takagi

出雲高校を2016年夏の甲子園に導いた手腕を持つ植田悟監督。平田高校として初となる甲子園の舞台で、どんな野球を見せるか。

選手の視野を広げる活動とは?

 例えば出雲高校時代は、ミッキーマウスらがやってくるディズニーパレードが出雲市駅前で催されることを聞くと「一流を観に行くぞ」と練習よりそちらを優先。平田高校では野球の映画『KANO』を鑑賞するなど、選手たちの視野を広げる活動も尽力してきた。

「やっぱり物語ですよね。甲子園に出るだけでなく勝って校歌を歌うこと。それを歌うのは誰なのか?って話になると、それは僕らもだし、全校生徒もだし、地元だけでなく全国にも散らばっている卒業生や平田出身の人もそう。そうすると“目標の価値がさらに上がるよね? 皆さんにも喜んでもらうような目標になるよね?”と」

 出雲でも平田でもユニフォームは以前のものに変えた。「懐かしいな。この色だよねと思ってもらえることを大切にしました」と話す。

 また、改修されたスコアボードは甲子園と字の書体を似せて“甲子園ボード”、トレーニングを行う場所は島根県代表校の甲子園宿舎がある場所に因んで“淀屋橋サーキット”と名付けている。

人口もお店も減ってきている。

 そして甲子園ともう1つの目標は、過疎化の進む地域の活性化に貢献することだ。前述した幼稚園や保育園などを訪問する野球教室に加え、実際に地域の子供たちを平田高校に招待して行う2パターンで普及活動を継続的に進めてきた。

「やっぱり、人口やお店も減ってきているので、平田地域の活性化に貢献する、元気にすることも目標です。それは挨拶もそうですし、小さな子たちに野球を楽しんでもらって、その後もスポーツに親しんで心身ともに健康になってもらいたいなという思いですね」

【次ページ】 過去と他人ではなく、今と自分を。

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