JリーグPRESSBACK NUMBER
6年ぶりにJに帰ってきた秋葉忠宏。
育成年代の達人に水戸はどう見える?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/03/03 19:30
クラブと代表チームでは必要な能力も違うのだろうが、秋葉忠宏は早くもクラブの現場に適応しているように見える。
伸びる選手と止まる選手の見極め。
育成年代のコーチとして関わったのは、伸びていく才能だけではない。停滞する才能にも触れた。成長過程の選手が多い水戸では、どちらの体験も生かされていくだろう。
「こういう選手は上へ行く、こういう選手はちょっと伸び悩んじゃう、というのが自分のなかである程度はっきりしました。ですから、選手にはダメなものはダメだと話します。もちろん聞く耳は持つので、何かあればどんどん話してくれとも言っています」
自身もU-20W杯と五輪に出場し、J1とJ2の複数クラブで400試合以上に出場してきた。Jリーガーとしての実績に指導者としての経験を照らし合わせ、44歳の指揮官は「自立」をキーワードにあげる。
「海外に行く選手、日本代表になる選手は、みんな自立しています。つねに自分に矢印を向けて言い訳をしない選手が、間違いなく上に行く。何かイレギュラーな事態が起こっても、判定がどんなものでも、自分に矢印を向けて人のせいにしない。そういう選手でないと成長が鈍くなってしまう。
このチームには若くていい選手がいっぱいいますし、経験のある選手も成長したいという意欲に満ちています。あとはもう、僕が彼らのために頑張らないと」
野心に溢れた伸び盛りの才能はもちろん、未開発の部分を秘めた中堅やベテランもいる水戸を、秋葉監督はどこまでレベルアップさせていくのか。選手と指揮官の思いがシンクロし、チームはリーグ再開へ牙を研ぐ。