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モズアスコットの「二刀流」が完成。
ルメールも驚くフェブラリー完勝劇。
posted2020/02/25 11:30
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
世界的良血馬が砂の頂上決戦で圧倒的な強さを見せつけ、JRA史上5頭目の「二刀流王者」の座についた。
第37回フェブラリーステークス(2月23日、東京ダート1600m、4歳以上GI)を、クリストフ・ルメールが騎乗した1番人気のモズアスコット(牡6歳、父フランケル、栗東・矢作芳人厩舎)が優勝。2018年の安田記念につづく、芝・ダート両GI制覇という偉業をなし遂げた。
一方、レース史上2頭目の連覇を狙った2番人気のインティは14着に沈んだ。
舞台設定、馬の状態、2度目となったダート戦……モズアスコットにとって、すべてが「吉」と出た。
東京ダート1600mのゲートは芝コース上にある。「馬がそれに慣れていますからね」と話した矢作芳人調教師も、ルメールも、それをプラス材料ととらえていた。
陣営が願っていたとおり、前走の根岸ステークスのように出遅れることなく、ポンとゲートを飛び出した。
ダートの経験で可能になった競馬。
序盤は楽に先行集団に取り付き、自身のリズムで走りながら、少しずつポジションを下げた。
そして、3、4コーナーでは中団馬群の内を進んだ。ルメールはこう話す。
「初めてのダートだった根岸ステークスでは安全に乗って、大外から伸びました。ダートが2回目の今回は、馬の間でも競馬ができると思いました。内枠にチャンスのある馬たちが入っていたので、(バテて下がってくることはないだろうと見越して)内に入れました」
前走での経験があったからこそ、前の馬が蹴り上げる砂をかぶっても怯まなかった。
直線に向いても、モズアスコットの前は馬群の壁に塞がれていた。外にも馬がいて、十分な進路はない。