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隠れたメダル候補、女子ケイリン。
小林優香と太田りゆが快挙を狙う。
posted2020/02/25 11:15
text by
小川勝Masaru Ogawa
photograph by
AFLO
東京五輪に向けて、大きく報道されてはいないが、日本勢が世界のトップレベルにある競技として、自転車のケイリンを挙げることができる。
国際自転車連合による国別の世界ランキングでは、日本は男子が1位、女子が3位だ。男子は初の金メダル、女子は初のメダル獲得の可能性があって、すでにワールドカップや世界選手権で評価できる成績を挙げている。
ケイリンは日本で育った競技で、五輪では2000年のシドニー五輪から行われている。日本の最高成績は'08年の北京五輪で永井清史が獲得した銅メダルだ。日本で育った競技であるにもかかわらず、'00年以来、日本勢のメダルは永井の銅メダルだけだ。
というより、ケイリンで決勝まで勝ち残ったのが、歴史上、永井だけなのである。日本で開催される五輪において、日本勢が歴代最高の成績を狙うというのは当然の目標と言っていいだろう。
日本の競輪と国際試合のケイリンの違い。
日本の競輪選手が、国際試合で思ったほどに成績を挙げられなかった理由としては、日本の競輪と国際試合のケイリンでは、規定がずいぶんと違っていることを挙げることができるはずだ。
日本の競輪は1周333.3m、335m、400m、500mという4種類のバンクで行われているが、国際ルールのバンクは1周250mだ。カーブの大きさが違い、直線の距離も違う。
中盤までレースを引っ張る誘導員が外れるポイントも、日本の競輪では残り600mくらいだが、国際ルールでは残り3周、750mくらいだ。思い切り踏み込んで勝負をかけるポイントが、おのずと違ってくるわけだ。
日本の競輪選手が国際試合で戦うためには、本職である国内の競輪出場は減らして、国際ルールを意識した代表合宿を積まなければならない。'16年10月に就任したフランス人のヘッドコーチ、ブノワ・ベトゥのもと、日本代表チームは東京五輪に向けて鍛えられてきた。