テレビじゃやらないスポーツの話BACK NUMBER
隠れたメダル候補、女子ケイリン。
小林優香と太田りゆが快挙を狙う。
text by
小川勝Masaru Ogawa
photograph byAFLO
posted2020/02/25 11:15
小林優香(右)と太田りゆ。東京五輪では日本初のメダルの期待が高まっている。
五輪に最も近い小林優香と太田りゆ。
成果はすでに表れている。男子では個人の世界ランキング2位で、'19年の世界選手権で銀メダルを獲得した新田祐大、世界ランキング5位で、'18年のワールドカップ第1戦で優勝している脇本雄太の2人が、世界のトップを狙えるポジションまで、立ち位置を上げてきたところだ。
女子のケイリンは'12年のロンドン五輪から行われるようになったが、日本勢はまだ出場したことがなかった。
だが東京五輪で、小林優香と太田りゆが出場することになりそうだ。2人とも1994年生まれの同年代だ。
五輪出場は、2月26日にドイツで開幕する世界選手権での獲得ポイントによって決定するが、世界ランキングでは小林が6位、太田が12位につけているところだ。普段はガールズケイリンの競輪選手である。
2人も高校までは自転車をやっていなかった。
'12年に始まったガールズケイリンだが、小林と太田は、いずれも高校を卒業するまで、競技としての自転車はやったことはなかった。小林はバレーボール、太田は陸上競技をやっていて、2人ともそれぞれの事情から、高校を出たあとに自転車競技と出会って、競輪学校に行って、才能を開花させた。
小林は佐賀県鳥栖市の出身で、母親がバレーボールをやっていたことで、バレーボールを始め、高校は熊本市立必由館高校でインターハイに出場している。卒業後は佐賀女子短期大学でバレーボールをやっていたが、短大1年の夏、テレビでロンドン五輪の自転車競技、男子のチームスプリントを見たことが、自転車を始めるきっかけだったという。
テレビで見たのは銅メダルを獲得したドイツチームの走りだった。自転車をやってみたいという思いが芽生えて、競輪学校の受験を決意、短大1年だった'12年12月、競輪学校の試験に合格した。