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竹下佳江率いる姫路、残留かけ決戦へ。
「痛い思いもして、きっと強くなる」
posted2020/02/21 20:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Noriko Yonemushi
観客の声が届くホームゲーム――。
今シーズン、V.LEAGUE DIVISION1(V1)に初参戦したヴィクトリーナ姫路のホームゲームはそんな印象だった。
V1は音響設備を使った賑やかな応援が定番だが、姫路は、観客1人ひとりの声が選手に届きやすいようにという理由で、応援に音響設備を使わない。ウインク体育館で開催されたホームゲームは、スタンドがチームカラーのピンクに染まり、ファンの力強い声援が会場に響き渡った。
昨年12月29日に開催されたレギュラーラウンド最終戦も、ホームのそうした生の声援に後押しされ、姫路は、岡山シーガルズを相手に好スタートを切った。サーブとディフェンスが機能し、拾って作ったチャンスをアウトサイドの貞包里穂や金杉由香が力の乗ったスパイクで次々に得点につなげる。V1昇格1年目のチームとは思えない内容で圧倒し25-19で第1セットを奪った。
ところが、第2セット以降は岡山の守備が機能して流れが逆転し、3セットを連取されて敗れた。前日のNECレッドロケッツ戦も同じ展開だった。第1セットは、準備していた相手の対策と自チームの良さが発揮され、奪うことができるが、相手に対応されると試合中にそれを打開できない。それが今季見えた課題で、姫路の竹下佳江監督は「相手は対応が早く、同じことをやられない。V1のチームはそういう変化に強く、私たちのチームはそこがまだできていない」と語った。
2016年発足、3人からのスタート。
ヴィクトリーナ姫路は、2016年6月に発足したプロチーム。元日本代表セッターでロンドン五輪銅メダリストの竹下監督のもと、たった3人の選手からスタートしたチームは、2018/19シーズンにV.LEAGUEに参入すると、いきなりV2で優勝を果たし、チーム発足3年でV1昇格を勝ち取った。
ただV1初参戦となった今シーズン、チーム構成は大幅に変わった。
昨シーズンまでは、セッターの河合由貴やミドルブロッカーの高木理江、ウイングスパイカーの浅津ゆうこ、金杉などV1経験のある選手が主力となりチームをV1へと押し上げたが、昨季限りで、初期メンバーだった河合、筒井視穂子らが引退。今季のV1は、先発メンバー7人のうち5人、時には外国人選手を除く6人全員が、大卒1、2年目の選手だった。12月以降は合流したばかりの内定選手も早速起用された。