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竹下佳江率いる姫路、残留かけ決戦へ。
「痛い思いもして、きっと強くなる」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNoriko Yonemushi
posted2020/02/21 20:00
V・チャレンジマッチ(入替戦)で姫路は群馬銀行と対戦。V1生き残りをかけて戦う。
「自分の武器を作るように」
1年目から正セッターを務めるというのは、幸運でもあり、試練でもあった。
竹下監督は「結構厳しいことも言ってきました。セッターの組み立てが、勝ち負けを左右すると。ただそれは、セッターとして通らなければいけない道なので、彼女は理解していると思います」と言う。
竹下は堀込に、「自分の武器を作るように」と言い聞かせた。
「守備面ではリベロにもなれるようなレシーブ力が必要になってくると、そこはすごく言われています」と堀込。
現役時代の竹下がまさにそうだった。竹下が後衛にいると、まるでリベロが2人いるかのようにボールがコートに落ちなかった。身長159㎝と小柄で、ブロックでは不利になる分、それを補って余りあるディグ力で存在感を放つ。ほぼ同じ身長の堀込に、そうした生き残り方を伝えるのは当然だった。
実際、堀込もボールを落とさない。俊敏さとガッツで、コートすれすれのところを飛び回ってボールを拾った。チーム発足4年目の今季、姫路は「ディフェンスの粘り強さ」というチームカラーを手に入れ始めたが、それは堀込の存在によるところも大きい。
初めてのV1、過去の自分を捨てる。
シーズン終盤、堀込について聞かれた竹下監督は、「非常にディフェンスのいい選手。それに、やはり学生時代にトップで戦ってきた経験は、気持ちの強さにもつながっているのかなと思います」と答えた。
トスについては簡単には褒めないが、成長は評価した。
「最初スタートした時に比べると、どの場面でどういう選手を使って、生かさないといけないかというところを、少しずつ理解して、修正してきている部分は評価しています」
初めて経験するV1のシーズンは、過去の自分を捨てる戦いでもあったと、堀込は言う。
「高校や大学とは全く違う世界なので。守備の面では、高校大学でやってきたことが土台となって今があるんですけど、攻撃面に関しては、学生時代はほぼ独学でやっていたので、それはもう捨てて、新しい攻め方や考え方をするようにしました。
例えば、今まで外国人選手にはトスを上げたことがなかったので、ライトのトスをどうやって高くキープするかというのは考えたことがなかった。ブロッカーと1対1の場面を作るにしても、高校ではレフトとライトに振って上げておけばそれができたんですけど、ここではやっぱりミドルを使わなきゃいけない。そこはあまりしてこなかったところでした」