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コートでは熱く、それ以外はゆるく。
千葉ジェッツの“強くなる”様を見よ。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byB.LEAGUE
posted2020/02/22 20:00
2月16日の大阪エヴェッサ戦では23分37秒の出場で17得点と勝利に貢献したコー・フリッピン。
昨季はBリーグ歴代最高勝率だったが……。
Bリーグ歴代最高勝率を記録したチーム(昨季は52勝して、わずか8敗。今季は21試合を残した時点ですでに8敗以下のチームは1つもない)から、3人もスタメンが入れ替わった。勝つことに慣れていたチームの歯車は間違いなく、狂っていた。
それでも、チーム編成を不調の言い訳にするつもりなど毛頭なかった大野篤史ヘッドコーチ(HC)は、今季のおよそ3分の1が終わった昨年12月に、反省の弁を口にしている。
「この体制で4年目となり、守備からのトランジション(速攻)の大切さは身についているものだと思って、ハーフコートの攻撃について重点的に準備していました。
『RUN THE FLOOR』(守備から攻撃へ素早く切り替えて走れという意味)とホワイトボードに書いているだけで、そこに対するアプローチをあまり練習でやらなかった。
『これまでの3年間で大切にしてきたことだから、言わずもがなでしょ』という思いがあったんですけど、そうした考えは良くなかったなと、僕自身、反省するところです」
1秒たりとも無駄にしたくない。
人は悲しいぐらい忘れていく生き物である。当たり前のことでも、注意を向け続けなければ、意識し続けなければ、頭から抜け落ちてしまう。
まず、変わったのは大野だろう。
選手が交代でベンチに下がってきたとき、審判が正しい判定をするために映像を確認して試合が止まっているとき……今は隙があれば、時間が許せば、選手たちに声をかけている。特に今年に入ってからは、1秒たりとも無駄にしたくないというような気迫が感じられる。
「特に、意識的にやっているわけではないのですが……。今になって振り返れば、シーズン序盤は、『次の時間帯は誰をコートに出そう』とか、『どの選手の組み合わせにしようか』ということばかりを考え、選手へのフォローアップが十分ではなかったのかもしれません。最近はもう、この場面ではコー(・フリッピン)を出そう、ここは(西村)文男だなと迷わなくなってきていますし、言いたいことが多くなっている部分もあると思いますけど」