最年長選手、大宮の気遣い。

　でも、彼はまだプロ1年生だ。

　誰よりも長く跳べるかわりに、理不尽な出来事に対して誰よりも心を大きく乱してしまうときがある。

　でも、最近は、彼の良さが光る試合が圧倒的に増えてきた。

　もちろん、指揮官だけが必死になっているわけではない。

　ジェッツの日本人選手のなかで最年長となる大宮宏正は笑顔でこう話す。

「選手たちを奮い立たせてあげたり、落ち込んだ選手を立ち直らせてあげたり、ヘコんでいる選手にご飯をおごってあげたり……目に見えない苦労をね、僕は裏でたくさんしているわけですよ（笑）」

「チームは成長していると思いますね」

　そんな大宮節が飛び出すのは、若手とベテランが共存する意義についてこう考えているからだ。

「若い選手たちからエナジーをもらうこともあります。コーみたいな活躍があると、チームも『ウォー』って盛り上がりますし。

　一方で、彼らは気持ちが下がる時もあります。そうやって下がっている時間がもったいないと思うので、それを引き上げたくて。それが僕の仕事だと“勝手に”思って、“勝手”にやっています。

　誰かがミスをして交代させられたときにも、『ミスして、ゴメン！　次に出るときには頑張る！！』という姿勢を見せる選手が多くなったので、チームは成長していると思いますね」

　2月15日と16日の大阪エヴェッサとの2連戦は、ギャビン・エドワーズとニック・メイヨというインサイドのビックマン2人と、原修太を負傷で欠いた中での戦いだった。

　エドワーズと原、スタメンを任されてきた2人がいない中で、西地区で優勝争いを繰り広げる相手に連勝した。その意味は大きい。昨季までのスタメンが2人いなくなったことを不調の原因に挙げられた今季序盤から、チームは進化している。そう確信する2試合だった。

【次ページ】　「練習から良い準備ができている」