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コートでは熱く、それ以外はゆるく。
千葉ジェッツの“強くなる”様を見よ。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byB.LEAGUE
posted2020/02/22 20:00
2月16日の大阪エヴェッサ戦では23分37秒の出場で17得点と勝利に貢献したコー・フリッピン。
マークすべき選手が入れ替わる。
それだけではない。アメリカのドエイン大学を卒業して、今シーズンからジェッツでプロとしての一歩を踏み出したコー・フリッピン。彼との接し方にも大野の姿勢は表れている。
ジェッツのディフェンスに目を向けてみよう。
ボールを持った相手と対峙する味方選手を助けるためのヘルプディフェンスをしたり、相手がスクリーンをかけてきたときにマークを入れ替えるスイッチディフェンスを大胆に採用したりするため、チームメイト同士で声を掛け合わないといけない。
また、相手の攻撃が続くなかで、マークすべき選手が入れ替わり、ジェッツのPG(ポイントガード)が相手SG(シューティングガード)に、ジェッツのSGが相手PGにつくような場面がある。
相手のPGとSGの身長がわずか10cmも違わないとしても、タイミングがあれば、声をかけあって、マークを入れ替えないといけない。体格のハンデを突かれる可能性を減らすためだ。
メンタル面を改善するための話し合い。
しかし、序盤戦のフリッピンはそうしたプレーが上手くできなかった。
彼の能力に問題があったわけではない。アメリカでは、現在のジェッツのような守り方をする必要がなかったからだ。習慣の違いに起因する課題だった。だから、アシスタントコーチも含めて、試合や練習の映像を見ながら個別のミーティングを重ねてきた。
一方で、彼のメンタル面を改善するための話し合いの場を設けてきた。昨季までチームを牽引していたチェンバースのひたむきさや努力を例に挙げ、大野がこう説いたこともある。
「試合に出られない時期でも、最後まで1人残ってワークアウトして、次のチャンスのための準備をする。それがプロの姿勢だろう?」
フリッピンには、他の誰にもマネできないような、スピードと跳躍力がある。彼がボールをつかんでリングへ向かって跳ぶ時、1人だけ空中でもう1つのエンジンをふかしているように見える。