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帰化選手のロシターが加入して──。
バスケ代表の競争、成長、自己犠牲。
posted2020/02/15 20:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
B.LEAGUE
バスケットボールの日本代表に足りないものがある。でも、それを埋めるような動きが今、起きている。
昨年の9月に中国で開催されたW杯を思い出してほしい。日本を背負う覚悟を、プレーを通して表現できたのは渡邊雄太と馬場雄大くらいだろう(八村塁は有効なプレーを見せているが、先のW杯でもチーム最年少。プレー以外のものを求めるのは酷だろう)。
渡邊はW杯の順位決定ラウンドのニュージーランド戦の後、悲痛な面持ちで話していた。
「このままでは日本に帰れないです。応援してくださっている方がたくさんいるなかで、代表合宿で一緒にやってきたけど最後にメンバーから落ちた選手がいるなかで、最後に選ばれた12人としてふさわしくないというか、絶対にやってはいけない試合でした」
そして、続くモンテネグロ戦では34得点、9リバウンドの活躍を見せた。
「本当に全部背負って、それでもやる覚悟で」
なお、渡邊とともに2人でキャプテンの大役を担っていた篠山竜青は、お笑い芸人・麒麟の田村裕氏のYouTubeチャンネルでの対談のなかで、自らの役割については謙虚に振り返ったうえで、渡邊の言動をこうたたえている。
「ニュージーランド戦でチームがトーンダウンした後のモンテネグロ戦の試合前のロッカールームで、(渡邊が)急に叫びだして、自分で胸をたたいて……というのは鳥肌が立ちました。(中略)本当に全部背負って、それでもやる覚悟で。それこそ、僕も泣きそうになりました」
他の選手たちが、失格の烙印を押されたわけでは断じてない。それぞれの選手のなかに、期するものは確かに存在していた。
最大の課題は、胸の内に秘めたものも、本来の力も、“上手く表現できなかった”ところにある。
アジア予選で見せた躍動感や、世界ランク10位だったオーストラリアを破ったときの力強さを、W杯の舞台でほとんど見せられずに大会を去ることになった原因の1つもそこにある。