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帰化選手のロシターが加入して──。
バスケ代表の競争、成長、自己犠牲。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byB.LEAGUE
posted2020/02/15 20:00
2月13日現在、1試合平均で18.1得点(リーグ21位タイ)、10.6リバウンド(同4位)、0.9ブロック(同8位)、1.6スティール(同3位)を記録しているロシター。
「自信をなくした夏でした」
その刺激に目を向けるとき、比江島が代表のミーティングで言ったことに、日本代表の未来への可能性を感じる。
中国W杯を5連敗で終えることになったモンテネグロ戦のあとに、比江島は「自信をなくした夏でした」と話していた。それはチームとして一度も勝てなかったことだけを指しているわけではない。自分自身にも向けていた言葉だった。
渡邊や八村塁が参加できないときには比江島が攻撃の中心として多くの得点をあげることを求められ、結果を残してきた。
しかし、彼らとともにコートに立つときには、ボールを持ったり、攻撃をしかける時間が少なくなる。どんな選手でも役割が大きく変われば、結果を残すのが難しくなる。
でも、彼はあのときとは違う。代表から所属するブレックスに戻った今シーズンは攻撃ではなく、守備からリズムをつかむ試合も増えてきた。
ベンドラメ礼生や藤井祐眞といった相手の攻撃のキーマンのマークに付くこともあれば、相手のビッグマンからボールを奪おうと懐に飛び込んでいく場面も増えてきた。
「自己犠牲の精神をしっかりと持って」
実際に、2月9日の中地区首位の川崎との試合ではチーム最多タイとなる4つのスティールを記録している。
ロシターらがチームのために行動しつつ、たった1つの枠を争う姿に触発されるように、比江島はミーティングの席で力強くチームに呼びかけたという。
「自己犠牲の精神をしっかりと持って、日本のために戦おう! ラグビーの日本代表をそのままマネしようというわけではないですけど、みんなを引き込んで、日本国民を味方につけていけるようになりたい。そのために、僕らはしっかり身体を張ってやっていこう」
競争のない組織は腐っていく。
健全な競争のある組織は、成長を続けられる。
ロシターらが新たに加わった日本代表は、健全な競争を成長の起爆剤にしていこうとしている。