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八村塁「日本人として誇りに思う」
渡邊雄太とNBAのコートに立つ意義。
posted2020/02/12 19:00
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Getty Images
2月9日、ワシントンDCのキャピタルワン・アリーナ――。2人の日本人アスリートを中心にメディアの人垣が動き、ファンもカメラのシャッターを切った。MLBではよく目にする光景だが、NBAではまだ新鮮。ウィザーズの八村塁、グリズリーズの渡邊雄太がゲーム前にコート上で談笑する姿を、NBAの公式カメラマンも興味深げに追いかけた。そのシーンは、世界最高のバスケットボールリーグにおいて日本人選手たちが新たな扉をこじ開けたことを示しているに違いない。
複数の日本人選手が同時にNBAのコートに立つのは今季が初めてで、そういった意味で彼らはパイオニアである。
「僕たちがやっていることがあとの世代に続けばいい。僕とか、塁とか、今は(馬場)雄大も(下部リーグの)Gリーグで頑張ってますけど、もっと日本バスケに貢献できたらとは思っています」
そんな渡邊の言葉が示す通り、彼らは日本バスケットボールの歴史を動かしているといっても大袈裟ではないのだろう。
故障離脱から復帰後、順調な八村。
このムーブメントの中心人物といえる八村は、鼠蹊部の負傷からカムバック後もまずは順調なプレーを続けている。3日、ウォリアーズとの復帰戦で11得点、8リバウンドを挙げると、その日から4戦連続二桁得点。グリズリーズ戦でも12得点、11リバウンドのダブルダブルをマークし、アリーナに数多く集まった日本人ファンを喜ばせた。
「こんなにバスケから離れて戻ってきたことはないんですけど、家にいてもバスケの試合を(テレビで)ずっと1日中流していました。“どういうところでもっと活躍できるか”というのを見ながらやっていたので、(復帰後は)それが良い形でできているんじゃないかなと思います」
1カ月半近くにも及んだ故障離脱から戻ってきて、いきなり大活躍している理由を八村はそう説明していた。実際にイメージトレーニングの成果か、復帰後は特にプレーの精度の高さが目立っている。4試合でFG成功率は53.3%と高く、離脱前の数字と比べてもハイレベル。シューターたちが作ったスペースをいかし、ミッドレンジからゴール周辺で得点を稼ぐパターンを確立した感がある。
「ディフェンスでもオフェンスでもリバウンドでも活躍できる選手になりたい。試合に負けてしまったんですけど、そういう結果を出せたのは良かったと思います」