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リーグを犠牲にしないジャパン強化。
日本ラグビーが探す難題の解決法。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2020/02/01 11:40
W杯の成功が日本にラグビーを定着させるためだったとすれば、リーグ戦こそがその本丸であるはずだ。
松島のように個人で飛び出す選手も。
世界のトップレベルと継続的に戦うのであれば、個人レベルで日本から飛び出すのがノーマルである。はからずも28日に、松島幸太朗のクレルモン移籍が発表された。サントリー・サンゴリアス所属の26歳は、今シーズン終了後にフランスのトップ14へ活躍の舞台を移す。契約は2022年6月までの2年間だ。
ジョセフHCは「W杯の成功でもっとやりたいという欲求が選手に芽生え、(海外からの)需要も高まっている」との前提に立ち、「他の選手にもそういったことが出てくると思う。
適切な選手が適切なタイミングでそうした機会を得て、違う文化、違うコーチングのもとでスキルセットを磨いていくことは素晴らしいことだと思う」と語るが、選手の海外クラブへの移籍を「課題」とも表現する。
海外クラブに選手が分散することになれば、継続性を持った強化は難しくなるかもしれない。戦術や戦略を落とし込む時間は、限られてしまうだろう。
クラブシーンの充実なくして。
とはいえ、個人のレベルアップは期待できる。サッカー日本代表を見れば分かるように、ひとりひとりの成長は日本代表の財産となっていく。
W杯で結果を残すことは4年に1度のプロジェクトだとしても、ラグビー界全体のボトムアップをはかっていくシステムを作り上げることが、日本のロードマップになるのではないか。国内リーグの競技力向上と選手の海外移籍はそのための両輪であり、選手たちがクラブで過ごす日常を充実させていくことは、中長期的に見れば遠回りではないはずだ。