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リーグを犠牲にしないジャパン強化。
日本ラグビーが探す難題の解決法。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2020/02/01 11:40
W杯の成功が日本にラグビーを定着させるためだったとすれば、リーグ戦こそがその本丸であるはずだ。
リーグと代表の日程は衝突する。
ジョセフHCの記者会見の前日に、日本協会は新リーグに関するブリーフィングを開いた。各チームに示された参入要件の骨子はかなり堅実な印象だが、清宮克幸副会長は「選手の流れをリーグがコントロールできるのがひとつのポイント。強化をすべてクラブに任せるわけではない」と話す。
新リーグが放映権などを管理して「未来を創るための原資」を生み出し、「高いレベルでの競争ができるリーグ」を描いているのは注目に値する。
1月に開幕した今シーズンのトップリーグには、南半球の国々からW杯プレーヤーが続々と来日している。世界的なプレーヤーの加入が新リーグ移行後も続いていけば、新リーグは代表強化の基盤と成り得る。
ジェセフHCが気にかけるのは、新リーグの開催期間だ。
今シーズンのトップリーグは1月から5月にかけて行われ、6月、7月、11月に日本代表のテストマッチが組まれている。「スケジュールが衝突しないこの状態がいい」と指揮官は語るが、新リーグは秋開幕を想定している。
今後のすり合わせは必要になっていくのだろうが、リーグを置き去りにしないのは大前提だ。ジョセフHCには与えられた範囲内で、最大値の強化をしてもらいたい。
スーパーラグビーからの除籍。
'15年W杯以降の代表強化に寄与したスーパーラグビーから、今シーズン限りで除籍される。これもまた、指揮官の表情を険しくする。
「選手たちにハードでタフな試合を経験させられる貴重な機会で、テストマッチの準備に向けて大きな利益になっていた」と振り返るが、サンウルブズのチーム編成は綱渡りと言っていいものだった。
インテンシティの高いレベルでひとりひとりの選手が多くのものを得る一方で、国内外から選手を集める編成は一貫性に乏しかった。勝利を要求できないところがあり、その姿は率直に言って中途半端だった。