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リーグを犠牲にしないジャパン強化。
日本ラグビーが探す難題の解決法。
posted2020/02/01 11:40
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Takuya Sugiyama
2023年までの時間は、間違いなく茨の道になる。
ラグビー日本代表のジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)が、1月29日に昨秋以来となる記者会見に臨んだ。2023年のW杯へ向けた所信表明演説とも言うべきものである。
母国ニュージーランドから前週に再来日した指揮官は、「ここから先のチャレンジは楽しみで、これからの4年間にとてもワクワクしている」と笑顔で切り出した。
ジョセフHCと選手たちへのハードルは、確実に上がっている。
'23年のW杯にホームのアドバンテージはない。地の利を得るのは日本ではなく、開催国フランスを含めたヨーロッパの列強だ。
昨年のベスト8入りによって、日本に対する認識も変わっている。ティア1と呼ばれる世界のトップ10も、これまで以上の警戒心で向かってくるのは間違いない。
条件は'19年より厳しくなっている。一方で、国内の評価基準はベスト8になる。それがどれほど困難なものであるのか、世間一般には浸透していない。
W杯のために許容したトップリーグの空洞化。
昨年のW杯に向けて、ジャパンはプロジェクト型で備えた。
直前のトップリーグを前倒しで終わらせ、代表選手たちは2月から強化合宿を繰り返していった。自国開催のW杯でプール戦を突破し、国内のラグビー人気に再び火をつけるという使命が、トップリーグの一時的な空洞化を許容した。
日本代表が世界のトップレベルへ立ち向かうために、集中的な強化期間を確保するのはひとつの方策である。しかし、ラグビーはサッカーのようにW杯予選が盛り上がることはなく('23年大会の出場権は、'19年大会の成績によってすでに獲得している)テストマッチも限られている。
代表が合宿などで地力を蓄えている時間は、ラグビー全般のメディアへの露出も減ってしまい、一般的な注目度はどうしても下がる。
そのうえでW杯の成績が振るわなかったら、ラグビー支持層の維持も拡大も難しくなってしまうだろう。W杯の影響を受けることなく国内リーグが開催され、国内リーグで揉まれることが日本代表の強化につながるシステムを作り出すことが、'23年以降を見据えても必要になってくるはずだ。