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箱根の後、駅伝部は何をしているか。
新入生が入るまでの意外と忙しい冬。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byNanae Suzuki

posted2020/02/02 11:50

箱根の後、駅伝部は何をしているか。新入生が入るまでの意外と忙しい冬。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

箱根駅伝の終わりは、次のシーズンの始まりである。この終わらないサイクルが学生駅伝なのだ。

ロードとトラック、混ぜるか分けるか。

 冬の1月から3月は、ロードのシーズンでもある。

 4月から7月まではトラックがメインだが、冬はハーフマラソンなどのロードレースに選手たちがエントリーし、目標タイムや優勝を狙う。

 ただし、日本選手権レベルの選手は個人種目にフォーカスし、国内外の合宿に出たり、陸連の合宿に参加したりしている。試験後には大学が休みになるので、長期的な合宿が可能になるのだ。

 もちろん、大学によって方針は異なる。

 青学大のように全選手をしっかり走り込ませてロードレースに挑戦させるところもあれば、東海大のように選手をトラック組とロード組で分けるところもある。

 ロード組は、距離的にはハーフマラソンを軸とした長い距離を走ることを主としたチームだ。箱根でいうと2区、5区、6区、9区、10区を走る選手が中心になる。

 山の区間を狙う選手も練習のベースはロード組と同じで、秋から個人で山の練習に入っていく。ハーフをきっちり走れるレベルでないと、山は走れないという考え方だ。

 ロードを走る選手は、2月は丸亀ハーフ、唐津10マイル、青梅マラソン、熊日30キロロードレース、クロカン日本選手権などのレースに参戦することが多い。

 クロカン日本選手権(通称福岡クロカン)は不整地を10キロ走るレースだが、上位入賞者6名が世界クロスカントリー大会への出場権を獲得できるので、例年スピードランナーたちも参加している。

 昨年でいえば、中谷雄飛(早稲田大)、小松陽平(東海大)らが走り、世界クロカンにも出場した。

大一番は3月8日の学生ハーフ。

 ロードを走る選手にとって特に重要なレースは、3月8日の日本学生ハーフマラソン(通称学生ハーフ)だろう。

 学生ハーフは、チームにとっても選手個人にとっても非常に意味が大きい大会だ。この冬の練習の成果を見せる大会であり、各チームの戦力や有力選手の状態を確認する場でもある。青学大、東海大、東洋大、駒澤大、国学院大など箱根駅伝強豪校の有力選手がこぞって参加するからだ。

 ここで上位に入賞した選手は、箱根駅伝でも素晴らしい走りを見せるケースが多い。例えば2019年学生ハーフの上位5名は、1位相澤晃(東洋大)、2位中村大聖(駒澤大)、3位伊藤達彦(東京国際大)、4位土方英和(国学院大)、5位浦野雄平(国学院大)だった。

 この5名は、いずれも大学3駅伝を好走し、相澤に至っては箱根2区で65分57秒という驚異的な区間新を叩き出し、怪物級の走りを見せた。果たして今年は誰がトップを駆けてくるだろうか。

【次ページ】 新入生の入寮、そして部屋割り。

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